散歩の六百十七話 辺境伯様との再会

 今日は辺境伯会議があるので、朝の訓練を早々に切り上げて着替えをします。

 フランたちも王城に行くことになったのだけど、毎回の如く僕の部屋で着替えています。


「ふんふんふーん、出来た!」

「おおー、可愛い!」


 でも、今日はシロが三人の髪をセットしています。

 フランたちも、出来上がった髪にご満悦です。

 多分今日は忙しくなりそうだから、フランたちは暫くケントちゃんと一緒にいることになりそうだね。

 玄関に行くとスーの準備も終わって待っていたので、さっそく王城に向かいます。


「今日は各地の辺境伯様以外には、誰か来るのかな?」

「閣僚が集まると聞いています。報告されるのは、多岐に渡りますから」


 土地持ちの領主は、いわば一国一城の主だから仕事も沢山あります。

 王都の法衣貴族は、どちらかというと専門家って感じです。

 そして、あっという間に王城に到着です。

 新しい屋敷と王城の距離が、ヴィクトリー男爵家と比較してもとても近くなっています。

 近い分には問題ないと思いつつ、いつもの応接室に案内されました。


 ガチャ。


「あー、スーお姉様だ!」

「フィーナ、久しぶりね」


 応接室には、アナ様とジェフちゃんだけでなく北の辺境伯様とフィーナさんがソファーに座っていました。

 ジェフちゃんの相手をしていたフィーナさんが、スーに気が付いてニコニコしながら駆け寄ってきました。

 そして、ひしっと抱きつきました。

 スーも、笑顔でフィーナさんを抱き返していますね。


「北の辺境伯様、お久しぶりでございます。その節は、本当にお世話になりました」

「私もお世話になりました。こうして、無事に王族として復帰することができました」

「シュンも、スーも、無事に王都に着いて何よりだ。私としても、辺境伯として当然の事をしていただけだよ」


 北の辺境伯様も、当然と言った感じで答えていた。

 フィーナさんも、うんうんと頷いている。

 そういえば、シルビアさんはどうしたんだろう?


「シルビアは一緒に着いてきたけど、今は屋敷にいるよ。王城に来るのは、畏れ多いって言ってたよ」


 あー、確かにシルビアさんならそう言う可能性は高そうだ。

 今度、シルビアさんに挨拶をしていこう。

 そして、他の辺境伯様も入ってきました。


「元気にやっているな。スーは、王族に復帰するだけの功績を上げているし、何も問題ないだろう」

「シュンの出店も、かなりのものだったからな。願わくは、来年もやってもらいたいぞ」

「父上も、シュンとスーを褒めていたぞ。祭りもやって欲しいって言ったぞ」


 何だかもの凄く褒められているけど、何だかんだいって各地で頑張っていたもんなあ。

 僕は、ひたすら料理を作っていた思い出しかないけど。

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