散歩の六百十三話 やっぱり食事は楽しみです

 せっかくなので、一緒に森に行って薬草採取や害獣駆除をしながらこれまでの話をする事になりました。

 場所も、王都から馬車で十分程の森です。


「あの、まだ理解が追いつかないんだが……」


 森に着いて経緯を掻い摘んで話をしたんだけど、ゴルが理由が分からないと頭を抱えてしまった。

 他の二人も、何が何だか分かっていないみたいです。


「ちびっ子の件は分かった。俺たちも何となく話を聞いていたからな」

「それに、アオも特殊なスライムだから冒険者登録したってのも分かるわ」


 ジジとルンも、ここまで話は理解してくれたみたいです。

 どうも東の辺境伯領であった事件はかなり広まっていたらしく、南の辺境伯領の人々も話を聞いたとのことです。

 更に北の辺境伯領の武道大会の結果も広まっていて、スライムかチャンピオンになったと冒険者の間で話題になったそうです。

 問題は、こっちの方でした。


「シュンとシロが活躍して貴族になるのも何となく分かるが、まさかスーが貴族の令嬢ではなく陛下の娘の王女様だとは……」

「そりゃ、南の辺境伯様も色々と気を使った訳ね……」


 僕とシロのことよりも、スーが王族だったのが一番の衝撃でした。

 でも、スーからのお願いで呼び名はそのままだし、何よりも一緒に依頼をした仲ってのもあるので、直ぐに落ち着きました。


「俺たちもDランクに上がったが、まさかその上をいくとはな。まあ、お前等は前から強かったしな」


 ジジたちも、順調に冒険者としての階段を上がっていました。

 僕たちは、特殊な依頼を受けていたってのもあって早くランクアップしたのかもしれません。

 それに、来年になると例の件であまり冒険者活動ができなくなるかも。

 そんなことを思いながら、薬草採取と害獣駆除を行います。

 しかし、薬草採取はいつも通りなんだけど、害獣駆除でちょっとしたトラブルが。


「「「ガウッ!」」」

「「ヒヒーン」」


 ドカン!


「「「ギャウン!」」」

「あーあ、またお馬さんが倒しちゃったよ」

「というか、あの馬どれだけ強いんだよ……」


 あろうことか、オオカミが軒並み馬を標的にして突っ込んでくるので、馬が全部撃退していました。

 うん、後ろ足で強烈な蹴りを食らわしているので、オオカミの顔にくっきりと馬の蹄の痕がついています。

 シロたちはつまらなそうにしているけど、ジジたちは度肝を抜かれていました。

 そして、お待ちかねの昼食の時間です。

 もう、全員が僕の作る昼食を楽しみにしていました。

 といっても、午後早くに森から引き上げるので、お肉サンドにサラダとスープにします。


「いやあ、相変わらずシュンの料理は美味いな」

「ねーねー、パパの料理って前から美味しかったの?」

「美味かったぞ。ハンバーグも食べたし、とにかく美味かった」

「「「おおー」」」


 そういえば、ハンバーグを初めて披露したのも村がゴブリンに襲われた時だったよなあ。

 あの時は誰も料理できなくて、僕一人で料理を作っていたっけ。

 今じゃ、スーもシロも簡単な料理ができるようになったんだよね。

 そんなことを思いながら、僕もお肉サンドを食べていました。

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