散歩の五百八十七話 何とか講習は終了

 休憩を挟んで実技講習なんだけど、今日はシロ達がとても張り切っていた。


「えい、やあー!」


 シュンシュンシュンシュン。


「はっ、はええ。すごい組み手だ……」

「全然動きが見えないぞ。これが、ハンターライセンス保持者の動きか……」


 シロ達に加えてスーも準備運動をしているので、新人冒険者があ然としながら眺めていた。

 そんな中、今日の僕は補助に徹するので準備運動をしないで武器の準備をしていた。

 因みに、今日もホルンとヴィヴィが武器の使い方を教えるみたいです。

 準備万端なので、さっそく始める事に。


「では、実技をはじめます。どんなタイプでも良いですし、シロちゃん達も相手をしますよ」

「頑張るぞー!」

「おー!」

「「「ざわざわ」」」


 うん、スー、アオ、シロ、フランがやる気満々でいるので、逆に新人冒険者が尻込みしちゃっている。

 そんな中、スーがとある人物を指名していた。


「えーっと、それじゃ座学中に寝ていた彼から始めましょうか」

「ふえっ?」


 あーあ、まだスーはあのオラオラ系に怒っているんだ。

 ニコリとしながら、真っ先に指名したぞ。

 オラオラ系はスーのとんでもない準備運動をみたせいで、完全に戦意喪失していた。


「じゃあ、シロが背中を押してあげるよ!」

「フランも!」

「よ、余計な事はしなくていい」


 ズルズル。


 でも、シロがオラオラ系の背中を押して訓練場の真ん中まで運んだので、無情にも実技講習は始まっていきました。

 オラオラ系は、吹っ切れた感じで大剣を手にしてスーに突っ込んでいきました。


 ブオン、ブオン。


「おら、おら!」

「良い動きですわ。もっと振りかぶって良いですわよ」

「「おおー」」


 オラオラ系は吹っ切れたのもあってか、かなり良い動きでスーに切りかかっていました。

 ただ、あくまでも新人冒険者にしてはのレベルなので、スーも難なく木剣で大剣を受け流していました。


「はあはあはあ……」

「とても良い動きでしたわ。これからも、真面目に鍛錬を積んで下さい」


 時間になり手合わせは終わったけど、やっぱりオラオラ系の動きはかなり良かった。

 真面目に剣を振るっていないと、こうはいかないぞ。

 僕は、戻ってきたオラオラ系に話を聞きました。


「その、他の冒険者になめられない為に、わざとこういう格好と態度をしていました……」


 うん、新人冒険者あるあるです。

 他の人に対抗する為に、わざと不良ぶる人がいます。

 因みに座学で寝ていたのは、単に緊張して昨日は寝不足だったらしいです。

 そして、オラオラ系が頑張ったので、他の新人冒険者もどんどんと手合わせをしていきました。


「えーっとね、こっちの武器の方が良いと思うよ」

「扱いやすいのがいいよ」

「確かに、こっちの方がいいな」


 ホルンとヴィヴィのお勧めする武器もバッチリとあっていて、新人冒険者からとても高評です。

 こうして、無事にスーの新人冒険者向け講習が終わりました。

 さて、薬草採取講習の前に一仕事がありそうです。

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