散歩の五百八十話 無事に講習が終了

 僕も軽く準備運動をして、さっそく手合わせを行います。

 すると、筋肉ムキムキで如何にも格闘タイプの初心者冒険者が僕に近づきました。


「講師のあんちゃんは、あのちびっ子よりも強いんだろう?」

「ええ、戦い方はあるかと思いますが、負けはしませんよ」

「ふむ、面白い。じゃあ、格闘でお願いしようか」


 最初の戦い方も決まったので、シロに審判をしてもらいます。

 タイマーは、アオが務めます。

 この中では、一番確実ですね。


「じゃあ、始めるよ。試合時間は三分です。始め!」

「うおー!」


 シロの開始の合図を聞いた冒険者が、一気に僕に突っ込んできた。

 でも半身の体勢なので、大体次の攻撃の予測ができます。


「とう!」


 ブオン!


 左前にして突っ込んできて、尚且つ蹴りを放つ気配もないので左のジャブか右のパンチを予測する。

 すると、予想通りに右のパンチを繰り出してきた。

 僕は、バックステップをしてパンチを避けつつ重心のバランスが少し崩れている足元を払います。


 ズサッ。


「ぐっ、こうもあっさりとかわされるとは」

「動きが読みやすいですので、どうすれば相手に攻撃を当てられるか考えながらやってみましょう」


 これは試合ではなく手合わせなので、僕も色々と指摘をしながら戦います。

 中々センスは良いんだけど、一撃一撃を過信しているので、その他の動作が緩慢になっています。

 経験を積めば、良い感じになりそうです。


「時間だよ!」

「はあはあはあ。くそ、全く当たらないぞ」

「当てることも大切ですけど、どう戦うかをもう少し考える方がいいかと。実戦経験を積めば、もっと良い感じになりますよ」

「「「おおー!」」」


 僕が新人冒険者を圧倒したのを見て、他の受講者から大きな歓声が上がりました。

 僕も、そこそこ実戦経験はあるので、様々な対応ができます。

 時間がないので、どんどんと相手をしていきます。


「えっとね、こっちの武器の方が良いと思うよ」

「えっと、このダガーですか?」

「お姉さん、動きが素早いから小回りの効く武器がいいよ」


 そして、武器が置いてあるところでは、ホルンとヴィヴィがどんな武器が合うかを選んであげていた。

 中々センスが良くて、的確に指摘していた。

 沢山の武器が置いてあるので、自分が知らない武器を選ぶこともあった。

 でも、そこにあるのは全部待ちの武器屋で売っているものなんだよなあ。

 中には小さいのに、ヴィヴィみたいに巨大なハンマーを勧められていた子もいた。

 こうして、一時間くらいで全員の指導が完了です。

 皆さん、とっても真面目で本当に助かった。

 問題児ばっかりだったら、僕よりも先にシロ達がキレていそうだよ。

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