散歩の五百七十九話 武器の説明と準備運動

 少し休憩しながら実技の準備をしていると、ゴーキさんが僕のところにやってきた。

 うん、最初から僕を講師にしたかを聞いてみよう。


「シュンが講師をする確率は高かったが、他にも二つ名を持っている冒険者はいる。そいつに頼む可能性もあったぞ」

「と言っても、かなりの確率で僕を講師にしようとしていたんですね」

「ははは、今日冒険者ギルドに来ると聞いていたしな。それに、Bランクに上がるには講師経験が必要だ。ちょうど良かっただろう」


 うん、可能性が高いと言いつつ、僕に講師をやらせる予定だったんだ。

 まあ、冒険者ランクが上がる条件らしいし、良い経験にはなっています。

 そしてゴーキさんは本当にふらっと様子を見に来ただけらしく、直ぐにギルドの中に入っていった。

 その間に、僕はアイテムボックスの中にしまってあった様々な武器を取り出します。

 周囲に新人冒険者が集まってきたので、説明を再開します。


「人によって装備は変わってくると思いますが、ナイフは必ず持つようにしましょう。武器としてだけでなく、料理や木を細かく裂いたりと何かにつけて便利です。剣も、大剣やショートソード、ダガーと様々なタイプがあります。槍はリーチが長くて獲物を制圧しやすいですね。頑丈な杖やメイスなどを使って、打撃として使う事も良いでしょう」


 新人冒険者は、僕が出した武器を手にしながらどんなものが良いのかと確かめていた。

 他にもフランが予備で持っているガントレットなどもあるので、格闘タイプの冒険者も手に取ってふむふむと頷いていた。

 フラン、ホルン、ヴィヴィも、武器を興味深そうに眺めていた。


「では、これから実際の実技講習を始めます。薬草採取でも、魔物に襲われる事は多々あります。冒険者になるに限らず、自衛の方法は確実に持って起きましょう」


 僕が冒険者に声をかけると、新人冒険者はアップを始めた。

 でも、ここで僕たちがどれくらいの強さかを見せて上げた方が良いだろう。

 僕は、シロ達に声をかけた。


「シロ、アオ、フラン達もだな。アップを兼ねて、普段行っている組み手を見せてあげて」

「「「「はーい!」」」」


 新人冒険者は、小さな女の子とスライムがアップを始めたので何だろうかと思っていた。

 しかし次の瞬間、その表情はありえないものを見るというものに変わっていた。


「とー、やー!」

「えい、えい」

「えやー」

「えーい」


 掛け声は可愛らしいものだけど、目の前で起きているのは高速の組み手です。

 ヴィヴィも良い感じにできる様になってきたので、一緒になって組み手をしていた。


「彼女らも、冒険者になってまだ一年経っていません。それでも、これだけの動きができる様になりました。皆さんも頑張って訓練をすれば、ここまでとは言いませんがかなりの動きができますよ」

「す、すげー、これが電撃の料理人のパーティーの動きか」

「小さい子どもが、とんでもない動きをしているぞ」

「私にも、あんな動きができるのかな……」


 新人冒険者の感想は様々だけど、いい刺激にはなっているみたいですね。

 では、さっそく実技講習を始めましょう。

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