散歩の五百七十六話 新人冒険者向け講習を始めます
実技講習までやってくれと言われたので、シロ達もやる気満々になっています。
とはいえ、何人を相手にするかによって対応も変わってきます。
そして、座学が行われる部屋に入ると、想定以上の事になっていました。
がやがやがや。
「わあ、凄い人の数だね」
「部屋の中がいっぱいだよ!」
「すごーい」
「パパが教えるんだよね?」
部屋の中は満員御礼で、四十人近くの新人冒険者が椅子に座っていた。
シロ達はあまりの人の多さにビックリしていたけど、同じ新人冒険者のヴィヴィはしれっと一番前の空いていた席に座っていた。
老若男女人種問わず多くの人が部屋にいて、中には貴族令嬢っぽい人もいる。
もちろん如何にも冒険者っぽい、ガチムチな人もいます。
だが、意外と全員真面目に冊子を読んでいて、その理由はヴィヴィの隣にいた男の子が教えてくれた。
「こんにちはー! 新人冒険者なの?」
「そうだよ! あのね、ギルドマスターが今日は二つ名持ちの冒険者が教えてくれるって言っていたんだよ」
ヴィヴィよりも少し大きいトラ獣人の男の子が、ニコニコしながら色々な事を話していました。
あの、ギルドマスター、今日僕がくるのを前提で講習を行うつもりだったんだな。
話を聞いていた僕は、思わずがっくりとしてしまった。
「それって、パパの事だよ! パパは「雷撃の料理人」って二つ名があるよ。アオも「チャンピオンスライム」って二つ名を持っているよ!」
「わあ、凄い人が教えてくれるんだね!」
「そうだよ、パパってとっても強いんだよ! この前もドラゴンを治したんだよ!」
ざわざわざわ。
そしてヴィヴィが喜々として僕とアオの二つ名を話したので、部屋の中が一層騒めいてしまった。
しかもドラゴンというキーワードが出てきたので、何だ何だって事になっていた。
うん、これはさっさと始めた方が良さそうですね。
僕とアオが黒板の前に立ち、シロ、フラン、ホルンは、部屋の壁際に移動します。
では、さっそく始めましょう。
「はい、皆さんおはようございます。本日講師を務めるシュンです。今日は、基本的な事に加えて僕が王国内をまわった経験も併せてお話したいと思います」
僕が話し始めると、部屋の中にいた新人冒険者が僕の方を向きます。
思い返せば、僕とシロが新人冒険者向け講習を受けた時はあの問題児がいて大変な事になったもんなあ。
そんな事を思いながら、僕は新人冒険者に向けて話し始めました。
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