散歩五百六十七話 傾聴はとても大切です

 スー、ホルン、ヴィヴィに加えてリアーナさんみたいに回復魔法が使える令嬢が、集まってきたスラム街の住民への治療を始めました。

 更に、炊き出しもある程度できたのでうつわに盛って配り始めます。


「順番に並んで下さい。沢山あるので、焦らなくても大丈夫ですよ」

「シュンお兄ちゃんの料理だから、とっても美味しいよ!」


 炊き出しと治療に並ぶ人が多いので、アイに加えてシロも列の整理を行っています。

 聖騎士も列の整理を手伝っているが、そんな列に並ぶ人に目を光らせているものが。


「あっ、またいたよ!」

「「ヒヒーン!」」

「うお、な、何が起きているんだ?」


 フランとうちの馬が、列に並んでいる犯罪者を次から次へと捕まえていきます。

 炊き出し開始前に聖騎士と守備隊の人員を増やしているので、比較的スムーズに犯罪者の護送を行えています。

 そして、この炊き出しでは別の目的も行っています。


「この先の古い建物はもう倒壊寸前でね、それでも子どもが住み着いているんだよ」

「まあ、それはとても危険ですわ。何とか、孤児院で保護してもらえたら良いですわね。誰か確認に行ってくれるかしら?」

「王太子妃殿下、直ぐに隊の者に確認に行かせます」

「おお、直ぐに動いてくれるとは。正しい生き方を教えて、真っ当な子どもになって欲しいものだよ」


 スラム街の人から色々な情報を集めて、改善できるところは直ぐに動く予定です。

 今もアナ様が老婆から話を聞いているけど、壊れかけの建物に子どもが住んでいるのはとても良くない。

 それに犯罪組織にスカウトされたら、生きる道を間違えてしまう。

 この老婆から聞いた話は至急性が高いという事で、直ぐに三人組の聖騎士が動きました。


「俺らは日雇いでも冒険者活動でもやって金を稼ぐ事ができるけど、子どもはそうはいかねえ。そういう奴に犯罪組織が甘い声をかける訳だ。子どもなら、犯罪者も教育しやすいだろうしな」

「無知な子どもほど、組織に都合のいい人材に育て上げられますからね。そうならない様に、何とか手を打たなければならないですわ」

「しかし、こうして奥方様は俺らの話をキチンと聞いてくれる。さっきも直ぐに動いてくれるし、それだけでも俺らにとってはありがたいものだ」


 また、別の男性もスラム街で暮らす子どもの事をとても心配していた。

 経済基盤が脆弱な子どもを、一人でも多く救っていかないとならない。

 しかし、アナ様もこうして膝をついて近くで傾聴する事に努めているから、スラム街の人々もアナ様に心を開いている。

 これはとても良い傾向です。

 でも、僕達の対応を邪魔するものは必ず現れてくるから、そういう者への対応も必要です。

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