散歩の五百六十六話 炊き出しの仕込みはばっちりです
次は一気に仕込みを開始します。
僕とアオだけでなく、シスターさんも手伝ってくれます。
「野菜は、スープ用と野菜炒め用に切り分ければ良いですよね?」
「はい、その通りです。先にスープ用に野菜とお肉を切り分けて下さい」
調理担当のシスターから指示を仰いで、僕とアオは一気に野菜を切り分けます。
トントントントン、トントントントン。
「あ、相変わらずの速さですね。どうしたら、その速度で野菜を切る事ができるのでしょうか」
「料理人であれば、このくらいはできるかと思いますよ。単純に野菜を切るだけですから」
僕の場合は、各辺境伯領で屋台をした時に大量の仕込みをしていた経験もあるでしょう。
あの時は、アオだけでなく他の人にも手伝って貰っていたもんなあ。
トントントントン、トントントントン。
「シスターさん、一つ目のスープ鍋用の野菜ができたので煮込み始めますね」
「お願いします。この分ですと、あと一時間もかからずに炊き出しの配布ができますね」
こうして良い感じで準備が進んでいく中、既に忙しく動いている人たちがいました。
どちらかというと、張り切っているのは人じゃないんですけど。
「「ブルル」」
「うわ! なんだなんだ?」
うちの馬が、スラム街の教会の様子を伺っている犯罪者を次々と捕まえていました。
いきなり馬に服の襟を咥えられて引きずられるのだから、犯罪者は何が起きたのか分からない内に聖騎士の前に運ばれています。
うちの馬が張り切る程、聖騎士が物凄く忙しく動いています。
案の定というか、追加の聖騎士と守備隊員が派遣される事になりました。
王妃様の狙いは、炊き出しを利用した犯罪者の取り締まりもあります。
治安向上に一役買えば、王族の権威も上がる訳です。
「さて、そろそろ治療の準備も始めましょうか。どなたか、スーを呼んできてくれますか?」
「あっ、私がスーさんを呼んできます」
治療して欲しそうな人が教会の庭に集まって来たので、炊き出しの準備を手伝ってくれていたリアーナさんが教会の中に入ってくれました。
程なくして、スーが教会の中に入っていたシロ達を引き連れて庭にやってきた。
「シュンお兄ちゃん、教会の中をピカピカにしてきたよ!」
「「「「ピカピカ!」」」」
「おお、頑張ったんだな。ご褒美に、後でパンケーキを作ってあげよう」
「「「「「やったー!」」」」」
ジェフちゃんも一緒になって喜んでいるけど、頑張っていたのは本当らしい。
どのくらい頑張っていたかというというのは、アヤが教えてくれた。
「皆さまが生活魔法をこれでもかってほどかけまして、教会内は建築当時の輝きを取り戻しました。更に、ゴミなども頑張って裏手に運んでおりました」
うん、ゴミの搬出は分かったけど、建築当時の輝きを取り戻すってどれだけ生活魔法をかけたんだろうか。
主にやったのはホルンとヴィヴィだと思うけど、シロの話を聞いたシスターが教会内を除いて物凄く感動しているから良しとしておきましょう。
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