散歩の五百五十六話 護りの結界

 昼食を食べ終えたところで、そのまま食堂で陛下からの話を聞くことに。


「話というのは、王城と王宮に設置してある魔導具の修理部品としてドラゴンのウロコを譲って欲しいというものだ」

「ドラゴンのウロコ、ですか?」

「そうだ。建国より設置してある、護りの結界を発生するものだ」


 何だか話が大きくなってきたので、もう少し詳しい話を聞くことに。

 護りの結界って、これだけでも凄い魔導具の気がする。


「王城と王宮には、悪意を弾く護りの結界を発生させる魔導具が設置してある。しかし、祖父の代から魔導具が故障していて作動していないのだよ」

「えっと、それってかなりヤバイ話ではないでしょうか」

「今は各所に兵を立たせているが、もちろん万全ではない。闇組織の件もあるので、早急に対処しなければならない」


 例の新年の謁見だけでなく、王宮の広場に市民が集まるものもある。

 年末まで二ヶ月もないのを考えると、早急に対応しないとならない。


「あの、どのくらいの量が必要ですか? ウロコの他に、抜け殻は数十体分あります」

「流石にそんなには不要だ。失敗を考えても、ウロコ二枚あれば事足りる」


 あっ、そんなものでいいんだ。

 幸いにして、ウロコは沢山あります。

 僕は、控えている執事さんにエンシェントドラゴンのウロコを多めに三枚アイテムボックスから取り出して渡しました。


「こ、これは。ウロコに、とんでもない魔力が秘められておりますぞ」

「エンシェントドラゴンのウロコなので、効果抜群だと思います」

「ははは、エンシェントドラゴンのウロコが出てくるとは。修理どころかパワーアップできそうだ」


 執事さんはウロコに秘められた魔力にビックリしていたけど、陛下は逆に上機嫌になっていた。

 元々ドラゴンと王家の盟約もあるし、ウロコを提供しても全然問題ないだろう。


「シュンよ、助かった。魔導具が直ってからだが、改めて報奨を出そう」

「えっと、僕としてはとんでもない量のウロコがあるので、ある意味タダ当然なんですけど……」

「ドラゴンのウロコというだけで、本来はとんでもない価値がある。エンシェントドラゴンとなると尚更だ。まあ、年頭の挨拶が終わってからになるがな」


 陛下からの話は、これで終わりみたいです。

 後は、ブローカー侯爵とブローカー伯爵の裁判はスーが参加するのと、炊き出しは五日後に決定したと伝えられました。


「もぐもぐ、お団子美味しい!」

「良かったわね。よく噛んで食べるのよ」


 その間、ジェフちゃんはお土産の団子をさっそく食べていて、とってもいい笑顔になっていました。

 こういう笑顔を見ると、とっても癒やされますね。

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