散歩の五百五十四話 温泉街から王都に帰ります

 翌朝、僕達は起きると直ぐに部屋を簡単に片付けました。

 今日は、朝食を食べたら直ぐに王都に向かって出発します。


「ねーねー、今日は冒険者服で行くの?」

「冒険者服じゃなくて、貴族の旅服だよ。王都に着いたら、直ぐに王城に行くからね」

「「「「えー!」」」」


 シロ達は気楽な冒険者服でいるつもりだったらしいけど、今日は残念ながらちゃんとした物を着てもらいます。

 道中何があっても、アオと馬がいれば全く問題ありません。

 ゴブリンキングが十体出てきても、一瞬で倒せるでしょう。

 ということで、朝食を食べて別荘の玄関前に移動します。


「ワイアットは、この後どうするんだ?」

「私どもは、数日こちらにおります。その後は、王城にて研修を続ける予定でございます」

「では、皆さん引き続き宜しくお願いします」

「畏まりました」


 スー付きの執事であるワイアットといえども、今は何も屋敷がない状態です。

 年明けにならないと色々と動かない予定なので、たまにヴィクトリー男爵家に来る程度だそうです。

 スーも、ワイアットにこの後の事を任せていました。

 ということで、僕達は馬車に乗り込みます。


「「「「ばいばーい!」」」」

「道中、お気をつけ下さいませ」


 アヤが御者をして、馬車はゆっくりと別荘を出発しました。

 シロ達は、見送りの使用人に向けて元気よく手を振っていました。

 さて、ここからは数時間の旅の始まりです。

 といっても、いつものやる事と変わりありません。

 こたつを出して、勉強タイムです。


「温泉街にいる間は勉強できなかったからな。今日は、一時間でも勉強をやるぞ」

「では、私も皆様の勉強を見ましょう。何かあったら、遠慮なく言って下さい」

「「「「はい!」」」」


 シロ達は勉強が嫌いな訳じゃないので、積極的に課題に取り組んでいます。

 アイも、僕とスーと一緒にシロ達の勉強を見ています。

 因みに、アオはアヤと一緒に御者席にいて何かあったら対応する為にスタンバイしています。


「えーっと、これはこうであれはあーで」

「かきかきかき」

「ぺらぺらぺら」

「えっと、これかな?」


 勉強が終わったらおやつタイムなので、ご褒美を目指して真剣に勉強をしています。

 時折アオと馬がオオカミとかを倒しているけど、特に大物が出ている訳ではないので気にしません。

 そして、キッチリ一時間の勉強タイムが終わり、みんなでおやつタイムに入ります。


「もぐもぐもぐ、温泉街のお菓子も美味しいね」

「いっぱい買っていたもんな。ジェフちゃんにもあげるんだよ」

「もちろんだよ!」


 温泉街で大量に買ったお菓子を、みんなで一緒に食べます。

 アイも、お菓子を食べてからアヤと御者を交換しました。

 道中何もトラブルもなく、本当に平和そのものだね。

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