散歩の五百五十三話 またみんなで来たいね

 荷物確認を兼ねた休憩の後は、別荘での最後の温泉に入ります。

 シロ達は既に準備万端なので、さっそく浴場に向かいます。


「パパ、上手く脱げないよー」

「はいはい、ちょっと待ってな」


 何となく予想はしていたけど、全員男性の更衣室に行って服を脱いでいました。

 僕は、全員の脱衣が済んでからいそいそと着替え始めました。


「ほらほら、全員体洗ってから浴室に這入るよ」

「「「洗ってー!」」」


 シロは自分で体を洗っているけど、フラン達はまだ上手く洗えないので僕が三人を洗っていきます。

 途中でアオとシロも加わって、ワシャワシャしていきます。


「あー、泡が目に入った!」

「フラン、だから目を開けるなと言っただろうが」

「いたーい!」


 と、こんな感じで全員を洗い終えて、ようやく湯船の中で一息つきます。


「「「「「はうー」」」」」

「くすくす、何だかしみじみとした声が出ていますよ」


 湯船の中でまったりとしていたら、少し笑いながらスーも湯船に入ってきた。

 全員でゆっくりと湯船に浸かります。


「いやはや、怒涛の一週間だったな。特に前半はとても忙しかったよ」

「本当ですね。まさかドラゴンの治療をするとは思いませんでした。でも、良い経験となりました」

「「「「楽しかった!」」」」


 後半は観光もできたし、船にも乗って結構面白かった。

 相変わらず、釣りは散々だったけど。


「明日王都に帰って、また忙しい日々が始まるね」

「そうですね。予定が詰まっていますから、本当に大変ですね」


 炊き出し関連もあるし、何よりも捕まえた連中の裁判もある。

 馬鹿な貴族を捕まえる事も考えられるし、今回の休みは貴重だったのかもしれない。


「来年もこよーよ!」

「「「くるー!」」」

「ふふふ。そうですね、みんなでまた温泉街に来たいですね」


 来年か。

 来年は、僕たちはどうなっているんだろうか。

 ニコニコとしている女性陣を見ながら、僕はふとそんな事を思ってしまった。

 まあ、陛下曰くトラブルの起きているところに派遣させる可能性が高いと言われているけど。


「パパー、そろそろでるー」

「じゃあ、出るか」

「「「一緒に出る!」」」


 ヴィヴィが温まったのを皮切りに、シロ達も全員湯船から出ることにしました。

 今度は、全員に服を着させないと。


「ふふ、お父さん頑張って下さいね。私はもう少し湯船に入っています」


 既に三人の子持ち状態だから、スーもちょっと笑いながらからかってきました。

 お父さんは大変ですよ。

 しかし、本当にいいお風呂だった。

 今度来た時は、公衆浴場の温泉にも入ってみたいなあ。

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