散歩の五百三十八話 リアーナさんと朝の訓練

 翌朝、いつも通りに起きるとリアーナさん達を誘って外でいつもの訓練を見せる事にしました。

 リアーナさんは公爵家のご令嬢なので、もう少し護身術を身につけたら良いと思っています。


「せい、やあ!」


 ガキン、ガキン!


 今は、リアーナさんが僕に木剣を打ち込んでいます。

 中々鋭い打撃で、十歳にしてはかなりのセンスを感じます。

 今まで真剣に剣術に取り組んできた成果が出ています。


「はあはあはあ、全く太刀打ちできませんでした……」

「そこは流石に年長者なので、簡単に負ける訳にはいかないですよ。剣の太刀筋はとても良いので、魔力循環をもっと頑張って身体能力を強化すると良いですよ」


 リアーナさんは少し悔しそうにしていたけど、このまま順調にいけばかなりの腕前になりそうです。

 少し休憩してから、スーがリアーナさんに魔力操作を教える事になりました。


「しかし、シロちゃんも他の子もあんなに強いんですね。アオちゃんは、武芸の達人ですし」

「それぞれ得意分野がありますから。リアーナさんも、自分が出来る事を頑張って下さいね」

「はい!」


 シロ達の高速での手合わせを見ながら、リアーナさんは元気よく答えていました。

 ヴィヴィも体がふっくらするにつれて段々と強くなってきたし、これからとっても楽しみです。

 このあとは、スーがリアーナさんに魔力制御のやり方を教えて訓練終了です。

 この後は、泊まった部屋を簡単に片付けて朝食を食べたら馬車に乗り込みます。


「リアーナ、一日泊めて頂きありがとうね。とても素敵な別荘で楽しかったわ」

「「「「ありがとうございます」」」」

「こちらこそ、急な提案にも関わらずありがとうございます。また、王都で会いましょう」


 玄関先でリアーナさんと別れて、僕たちは王家の別荘に戻ります。

 リアーナさんは今日王都に帰る予定なので、次に会うのは王都になりますね。

 みんなで楽しかったと話しながら、あっという間に王家の別荘に到着です。


「皆様、おかえりなさいませ」

「「「「ただいま!」」」」


 別荘の玄関では、ワイアットが僕たちを出迎えてくれました。

 すると、ワイアットは馬車から降りた僕とスーに話しかけてきました。


「スーザン殿下、シュン様、温泉街の責任者がお会いしたいと申しております。時間は、いつでも良いそうです」

「分かりました。うーん、できれば午前中の早いうちか午後の早いうちが良いです」

「実は、湖に遊びに行こうと思っておりまして。昼食は別荘に帰ってきてから食べる予定です」

「畏まりました。それでは温泉街の責任者にお時間をお伝えいたします」


 ドラゴン絡みか何かだろうが、急ぎではない事を考えると大きな問題ではなさそうだ。

 いずれにせよ少し休みたいので、僕たちは別荘の中に入りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る