散歩五百二十五話 森で何があったかを説明
すると、リアーナさんがスーと僕に申し訳無さそうに話しかけてきた。
「あの、ですね、実は炊き出しとかで何回かあった他の貴族令嬢も温泉街に来ておりまして。皆様、スーさんと共に温泉を楽しみたいと言っております……」
おう、なんて事だ。
大教会前で行った炊き出しに参加した貴族令嬢が、勢揃いしているとは。
スーも、かなりビックリした表現をしている。
でも、ちょうど良い機会だから、纏めて呼んじゃえって事になりました。
貴族の別荘に声をかけて貰い、ソファーも追加で用意します。
お茶もお茶菓子も、沢山用意します。
使用人の皆さん、本当にありがとうございます。
「ははは、こりゃすげーな。両手に華どころじゃねーな」
ぞろぞろと色々な人がやってきて、一番最後に温泉街の責任者がやってきました。
何だか、豪快な人ですね。
ともあれ、役者が揃ったので全員に話をします。
「皆さん、急遽お集まり頂きありがとうございます。王国王女のスーザンと申します。今日は、森の中で起きた異変と明日起こる事についてお話します」
スーが席を立って話し始めると、全員がスーに注目した。
この後の事は、受け入れてくれるだろうか。
ここからは、僕が席を立って話します。
「冒険者のシュンです。まず結論から言いますと、森の異変については対応しました。森の奥に、全長五十メートルを超える傷ついた黄金色のドラゴンがいた為です。ドラゴンは僕たちが治療し、元の山脈に移動しました」
「「「……」」」
僕が森で何が起きたかを説明すると、全員が真顔のまま固まってしまいました。
こいつ、何言ってるんだろうって話でしょうね。
そこで、僕はアイテムボックスからドラゴンのウロコを取り出しました。
「こちらが、実際にドラゴンから頂いたウロコの一部になります。皆さん、見て頂いて構いません」
「凄い。このウロコに、物凄い魔力を感じますわ」
「とても軽いのに、凄い強度がありますわ」
僕がウロコを数枚取り出すと、集まった人に順番にウロコを見てもらいます。
魔力が高い人は、ウロコがとんでもないものだと一目で見抜いた様です。
「うーん、鑑定しても確かにドラゴンのウロコだと表示される。間違いなく、本物のドラゴンのウロコだな」
温泉街の責任者は鑑定魔法が使えるらしく、間違いなくドラゴンのウロコだと漏らしていた。
ここまでは、皆さんに信じて貰えたみたいです。
「ドラゴンが森にいた理由は分かっていますが、機密が含まれているのでお話できません。ただ、街を襲うとかは一切ないのでご安心下さい」
「そりゃドラゴンが襲ってきたら、俺達じゃあ立ち打ちできないからな。しかし、傷ついたドラゴンを治療するとは、スーザン殿下達の回復魔法は物凄いんだな」
ウロコを回収して話を再開すると、温泉街の責任者が腕を組みながらウンウンと唸っていた。
僕たちがドラゴンを治療したのが、余程凄い事だと思っている様だ。
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