散歩の五百二十四話 別荘に戻ります
森を抜け、馬車をアイテムボックスから取り出して冒険者ギルドに向かいます。
森の中のドラゴンがいた箇所は街から離れているので、 街は何事もなかったかの様にいつも通りの賑わいを見せていた。
でも、やっぱり何があったかを報告するとこの人も驚いていた。
「はあ? レッドスコーピオンに襲われたドラゴンが森の中にいた?」
肝っ玉母さんって感じの温泉街の冒険者ギルドマスターも、僕たちの報告を聞いて身を乗り出すくらいビックリしていた。
とんでもないものが森にいたのだから、このリアクションも無理はないだろう。
「調査に行ったのが、シュンたちでよかった。普通の冒険者には、あまりにも荷が重い件だったぞ」
「僕たちも、まさかの相手でビックリしていました。とても紳士的なドラゴンでしたが、これが暴君のようなドラゴンだったら大変でした」
「仮定の話が本当になったら、温泉街は全滅するところだった。まあ、何にせよ無事に依頼完了だな」
お茶を飲んで落ち着きを取り戻したギルドマスターに改めて報告するけど、これから明日の件を報告しないといけないんだよなあ。
ここは、思い切って話をしないと駄目だ。
「ギルドマスター、まだ話の続きがあるんです。実は、そのドラゴンから他のドラゴンの治療を依頼されまして。明日朝、王家の別荘にドラゴンが迎えに来ることになりました」
「はあ?」
あっ、またギルドマスターがカップを手にした状態で固まってしまった。
後ろにいる旦那さんも、目を開いて固まってしまったよ。
「あの、ドラゴンが街を害する事はありません。ただ、街の人が驚いてしまうと思いますので、この後代官にも報告する予定です」
「はあ、ドラゴンから依頼を受けるとは。とは言っても、非現実的な事が起きると周知するくらいしかできないな」
やはりというか、ギルドマスターもこの対応には苦慮しそうだ。
早めに代官に話をした方が良いので、一旦別荘に戻って関係者に集まって貰うことになった。
「は、はあ。ドラゴンが迎えに来るとは。中々凄い事になっておりますな」
別荘についた僕たちを出迎えてくれたワンウェイも、森で何があったかを聞くと困惑の表情をしていた。
冒険者ギルドマスターと代官に加えて、守備隊と温泉商会の責任者にも集まって貰った方が良い事になりました。
「スーザン殿下、お客様がおいでになっております」
手はずを整えてくれる事になったけど、その前にお客様が来ているそうです。
僕たちは、着替えてから応接室に向かいました。
「あっ、スーさん、シュンさん、お帰りなさい。お邪魔しております」
「リアーナじゃない。別荘を訪れて、何かあったの?」
「実は、元々温泉街に行く予定があったんです。決して、スーさんの後をついてきた訳ではないのですが……」
応接室にいたのは、ブルームバーグ公爵家のリアーナさんだった。
グリムワールさんとエアリスさんも控えてるし、本当にたまたま温泉に来ただけの様ですね。
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