散歩の五百十四話 代官邸に到着です
別荘から馬車でゆっくりと十分も進めば、目的地である代官邸に到着します。
既に先触れが出ていたのか、すんなりと代官邸の応接室に案内されました。
「それでは、暫くお待ち下さいませ」
「「「「はーい」」」」
女性職員にお茶を出してもらうが、うん、流石に別荘のお茶よりは味が落ちるなあ。
おっと、ちょっと確認しないと。
「シロ、後はフラン達もだな。何か悪意を感じるか?」
「うーん、ちょこっとだけ感じるけどあんまり影響はないよ」
「「「大丈夫!」」」
僕とアオも探索魔法を使ったけど、特に問題のある気配は感じなかった。
僕も少し問題のある気配を感じ取ったけど、この程度なら警備兵に任せれば良い。
それよりも、別の所に問題を感じた。
「うーん、どうも森の方から動物や魔物の気配がするなあ。普通の森よりも、少し多いかも」
「その辺も含めて、代官に聞いてみましょう。もうそろそろ来るみたいですよ」
廊下から足音が聞こえてきたので、僕たちは姿勢を正します。
すると、一人の白髪の老人が応接室に入ってきた。
見た目は執事みたいに、細身で白髪をオールバックにしています。
「スーザン殿下、ハイペリオンと申します。はるばる王都よりお出で頂き、感謝申し上げます」
「スーザンと申します。今日から一週間ですが、温泉街にお世話になります」
僕たちはソファーから立ち上がって、スーが代表して挨拶をします。
ハイペリオンさんはとても感じの良い人で、シロ達もにこやかにしています。
お互いソファーに座って、早速話をする事に。
「些細な喧嘩などのトラブルはございますが、大きなトラブルは今の所起きておりません」
ハイペリオンさんの報告は、特に変わったものはなかった。
収支報告なども見せてもらったけど、大きな変動も特に見受けられません。
統治は問題なさそうだけど、やっぱり森からの気配が気になった。
「ハイペリオン様、お尋ねした事があります。実は、森から動物や魔物の気配がかなり感じられました。何か情報をお持ちですか?」
「いえ、今の所は何も聞いておりません。しかし、二つ名持ちの冒険者でもあるシュン様が疑問に思われておりますので、兵に調査を指示させましょう」
ハイペリオンさんも、僕の話を聞いて調査をしてくれる事になった。
僕たちも、時間を見て森の調査をしてみよう。
「今の時期は観光客も多く、貴族の方も別荘にやってきます。巡回部隊を増やして、万が一に備えましょう」
「そうですわね。貴族の別荘にも人が来ているみたいですし、対応できる事はした方が良さそうですわ」
そういえば、他の貴族の別荘にも馬車が停まっていたなあ。
となると、警戒しないとならない人が増えたって事か。
ここまで分かっただけでも収穫だと思い、スーも直ぐに父親である陛下に通信用魔導具で連絡を入れていた。
「「「もぐもぐ、ぱくぱく」」」
シロはアオを抱っこして話を聞いていたけど、フラン達は目の前のお菓子に夢中になっていた。
まあ、五歳児だからこの辺りはしょうがないね。
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