散歩の五百九話 賑やかな道中
時間が経つにつれて、アヤとアイもだいぶ落ち着いてきた。
御者をアイに交代して、今度は各地の辺境伯領をまわった話をしています。
「スーザン殿下は、今やオークキングを単独撃破するだけのお力をお持ちになったのですね」
「シュンさんとアオちゃんに、魔法の使い方を色々と教えて貰いました。単純な物理攻撃力でしたら、シロちゃんが一番ですよ」
「僕とスー、それにホルンとアオは魔法重視です。シロとフラン、ヴィヴィは物理攻撃ですね」
ヴィヴィの攻撃力はいまいち分からないけど、フランとホルンが組めばゴブリンキングは楽勝でしょう。
とはいえ、王妃様とエミリア様にアリサ様という、化け物級に強い人がいるんだよなあ。
ガンドフさんや軍務大臣も強そうだし、僕たちの強さはまだまだだと思うよ。
「アヤとアイは、主にどうやって戦うの?」
「私は短刀を使った接近戦闘に格闘術
と、魔法を使った戦闘ができます。私と妹も、火属性の魔法が使えます」
「主を守るための戦い方が多いんですね。魔法なら僕やスーが、接近戦ならシロとホルンが相手になりますよ」
二人がどの程度の実力かは、明日朝のいつもの訓練で分かるでしょう。
陛下が僕には及ばないけどそこそこ強いって言っていたから、実は結構強いって思っています。
「それにしても、皆様勉強熱心ですね。スライムが教師ってのも凄いですが」
「アオは特別凄いスライムですから。それこそ、家事全般上手ですし特別に冒険者としても認められてますから」
「アオちゃんが作る料理は、とっても美味しいですよ。流石にシュンさんには勝てませんが」
もう一つのこたつでは、シロ達がアオに教わりながら勉強中です。
やはりうちの馬だと進むペースが速く、お昼前には温泉街に着いてしまいます。
午後から遊ぶためにも、今のうちに勉強をしておきます。
「あっ、オオ……。また、馬が倒しちゃいました……」
馬車が一旦停止するのも、馬が街道に現れたオオカミやイノシシにツノウサギを倒す時だけです。
王家や貴族なら護衛の兵が現れた動物や魔物を倒すけど、僕たちの場合は馬が全部倒しちゃいます。
更にアオが血抜きをバッチリとするので、質の良い肉と皮が手に入ります。
「イノシシ肉が手に入ったから、今夜はみんなでぼたん鍋でもやるか?」
「「「「「食べるー!」」」」」
調味料もあるし、アイテムボックスの中には新鮮な野菜も入っています。
勉強が終わったシロ達も、ニコニコ顔で答えていました。
さてさて、もうすぐ温泉街に着く時間だ。
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