散歩の五百六話 温泉旅行に行く朝

 そして、いよいよ温泉旅行に行く日です。

 昨晩の内に準備を整えていたので、朝食を食べたら直ぐに出発の予定です。


「うーん、むにゃむにゃ……」

「「「「朝だよー、おきてー!」」」」


 どすっ!


「ぐはぁ!」


 僕はまだ早朝なのでぐっすりと眠っていたのだが、ワクワクで早く目が覚めてしまったシロ達が僕の上にダイブしてきたのだ。

 僕は、衝撃的な目覚めに暫くの間ベッドの上で悶えていたのだった。


「前から何回も言っているけど、いきなり人の上に乗るのはやめましょう」

「えー、シュンお兄ちゃんにしかやらないから大丈夫だよ」


 食堂で朝食を食べながらシロに注意するけど、シロはこれからやる雰囲気だしフラン達もうんうんと頷いていた。

 こればっかりはしょうがないと、スーもたははって表情だった。

 僕はとほほって思いながら、朝食のパンをもしゃもしゃと食べ始めます。

 そんな僕に、同じく朝食を食べているガンドフさんが話しかけてきた。


「そうそう、シュンよ、陛下から代官邸に行ってくれと言伝を預かった。シュン達の目で見た温泉街の状況を、スー経由で報告して」

「スーの持っている通信用魔導具で報告すれば良いですよね?」

「うむ。まあ、何か問題があると聞いていないから、大丈夫だろうな」


 僕たちを使っての状況確認ですね。

 どうせ色々なところを周る予定だから、陛下の依頼は全然大丈夫ですね。

 ついでだから、シロ達目線での意見も集めてみましょう。


「私も王都駐留軍の巡回で温泉街に行ったことがあるが、雰囲気の良い場所だ。庶民から貴族まで多くの人が通年で訪れるが、やはり今の時期が一番人が多い。今回は王家の別荘に泊まるらしいが、公衆浴場もあるぞ。混浴だから、水着を着てになるがな」


 王家の別荘でも、混浴になったら水着を着ますよ。

 しかし、人が多いとなると、警備関係も気をつけないと。

 うちのこはみんな強いけど、何事もないようにしないと。

 さてさて、全員朝食を食べ終えたから出発の準備をしないと。

 今日は、道中冒険者服で現地に向かいます。


「お馬さん、よろしくね!」

「「ヒヒーン」」


 着替えを終えて荷物を持ったら、僕たちは屋敷の前に移動して馬車に乗り込みます。

 シロ達も馬の鼻先を撫でてから、馬車に乗り込みました。

 そして、いつものようにこたつをマジックバッグから取り出してセットしていきます。


「それでは、行ってまいります」

「行ってきます」

「「「「いってきまーす!」」」」

「道中気を付けてな」


 僕たちは、見送りに来てくれたガンドフさんに挨拶をしてから出発します。

 まずは王城に向かうので、僕が御者をして馬車を進めます。

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