散歩の五百五話 報奨金を受け取りに行きます
温泉旅行の前日、僕達は不足分がないか僕が泊まっている部屋に集まって持ち物を確認しています。
とはいっても、殆どの物は昨日一昨日で全て購入できています。
「とりあえず大丈夫みたいですね。不足分があっても、現地の商店で購入すればどうにかなるはずです」
スーのオッケーも貰ったので、これで準備完了です。
「じゃあ、ギルドにいこー!」
「準備して行くぞ!」
「「おー!」」
そして、今日は別件もあって王都の冒険者ギルドに向かいます。
シロ達が元気よく声を上げていて、いそいそと着替え始めました。
ちなみに、僕とスーは準備万端です。
みんなが着替え終わった所で、馬車に乗り込んで僕が御者をしながらいざ出発です。
「あいよ、これが依頼料だ」
ドサッ。
「「「「ありがとー!」」」」
そうです、教会にいた時に緊急で行なった騎士団とのアジト制圧の依頼料が出来たと昨夜ガンドフさんから話がきました。
結構な数の硬貨が入った袋が七個出てきたけど、これって良いのかな?
「スー、この金額で問題ない?」
「はい、問題ありません。というのも、押収物の鑑定額がとんでもない額になり、国庫収納分や騎士団への分配を計算してこの金額になっているそうです」
スーに確認しても問題ないというので、ここは素直にお金を受け取っておこう。
「屋敷に帰ったら、みんなでガンドフさんにお礼を言おうね」
「「「「はーい」」」」
お金をそれぞれのマジックバッグにしまったところで、僕はシロ達に話しかけます。
シロ達もお礼の事は十分に分かっているので、シロの頭の上に乗っているアオも含めて元気よく手を上げていました。
さて、温泉旅行に行く前に何かあったらいけないから、今日は依頼を受けないで屋敷に帰ります。
と思ったら、突然のトラブル発生です。
「おう、嬢ちゃんら。いっぱいお金を貰ったな」
「へへへ、ちょーっとだけ俺らに恵んでくれないかな?」
「なに、全部とは言わんぞ。そうだな、九割くれればいいぞ」
なんだろう、久々に身なりの悪い馬鹿な冒険者をみたぞ。
大方、依頼に失敗して有り金を失った馬鹿な冒険者だな。
しかも、僕とスーの事を無視してシロ達に話しかけているぞ。
ここでヴィヴィが、ド正論を思いっきり大きな声で話しました。
「あのね、パパが人のお金は絶対に取っちゃいけないって言っていたんだよ!」
「「「ぷぷっ」」」
うん、とっても良くできました。
というか、当たり前の事だもんね。
ヴィヴィがとっても真面目な事を言ったので、周りにいる冒険者も思わずくすくす笑っています。
「くそが、ぶっ殺されたいのか!」
「ガキが、いきがるなよ!」
「どうも死にたいらしいな」
シャキン。
あっ、懐からナイフを抜いて脅しまでかけてきた。
奴ら、相当頭に血が上っているな。
因みにこの時点で、アオが魔法障壁を展開しているので万が一襲撃があっても安全な状況です。
そして、ここがどこだか分かっていません。
バキン、ドカン、ボキン!
「おらー! 冒険者ギルド内で、刃物を抜いた上に脅迫するとはなんだ! 現行犯だ!」
「「「ぐふぉ……」」」
よりによって、卸しの屈強な職員の目の前で脅迫するとは。
脅迫した者はあっという間に職員にぶっ倒されて、縄で縛られて運ばれちゃいました。
あいつ等には、これから厳しい取り調べが待っているんだろうな。
「すみません、僕たちの説明はいりますか?」
「いらねーぞ、俺の前でやりやがったからな。他にも多数の職員が見ていたから、あんちゃんらはもう帰っていいぞ」
僕たちも何もすることはなさそうだね。
さて、屋敷に帰りますか。
「じゃあ、改めて屋敷に帰るぞ。むやみに反撃しなくて、偉かったぞ」
「「「「はーい!」」」」
こうして、僕とスーはシロ達の頭を撫でてから冒険者ギルドを後にしました。
あんな馬鹿は冒険者活動していればいくらでも遭遇するけど、相手のペースに乗せられないように気をつけないとね。
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