散歩の四百九十八話 炊き出しの配膳開始
「「「まだ? 良い匂いがするよ!」」」
「もう少し待ってな。味見させてやるから」
具材を煮込んだ所で、軽く味を整えます。
フラン、ホルン、ヴィヴィの三人は、良い匂いに待ち切れないみたいですね。
パク。
「お野菜がシャキシャキしていて、とっても美味しいよ!」
「とても良い味ですね。これなら、並んでくれた人も喜ぶはずですわ」
アオの野菜炒めを試食したシロとスーは、思わず満面の笑みになっていました。
野菜炒めは問題なさそうなので、さっそく並んでいる人への配膳が始まりました。
ずずっ。
「「「おいしー!」」」
「味に深みがあって、一流の料理に仕上がっていますわ」
野菜スープの方も、フラン、ホルン、ヴィヴィだけでなくリアーナさんにも好評です。
こっちも準備万端ですね。
「じゃあ、配膳を始めましょう。皆さん、宜しくお願いします」
「「「はい!」」」
僕が他のご令嬢に声を掛けると、既にスタンバイオッケーでした。
結構手慣れた感じで、並んでいる人に炊き出しを配っていきます。
「な、何だこれは! 美味すぎるぞ!」
「これが、貴族の料理なのか!」
あまりの美味しさに、炊き出しを食べている人がとんでもない事を言い出しました。
ただのスープなんだけどね。
ジュー、ジュー、ジュー。
「すげー、スライムがフライパンを同時に三つ使って料理しているぞ」
「あんなスライム、世の中に存在していたのかよ」
アオは念力を上手く使って、高速で料理を作っていきます。
流石にご令嬢達も慣れてきたのか、特に何も言わずに配膳に専念しています。
そして、こっそりと活躍していたのが、このコンビでした。
「あっ、悪者発見!」
「ブルル」
シュイン、バシッ。
「うわ。なんだなんだ?」
いつも屋台で配膳をしているシロとフランは、今日も配膳係をしています。
ホルンとヴィヴィはうちの馬に乗って、スリや窃盗犯を捕まえていきます。
二人は簡易鑑定も使えるみたいで、拘束魔法で動けなくしてから馬が襟首を咥えて運んでいきます。
人が沢山集まっているから、犯罪者も集まっているのだろう。
結果的に近衛騎士や聖騎士だけでは手が足らなくなったので、軍や王都騎士団が応援にやってきた。
犯罪者の護送で、応援で来た人も大忙しです。
「ほほほ、皆が笑顔で対応していますな。もぐもぐ。炊き出しを食べた人も、美味しさに笑顔ですな」
「そうよな。皆がやる気になっているのが一番じゃ。ぱくぱく。犯罪者を捕まえるのは些細な事じゃ」
僕とアオが料理を作っている後ろで、椅子に座りながら教皇猊下と王妃様が炊き出しの試食をしていた。
料理の感想よりも周りの人が笑顔で頑張っているのが良いみたいだけど、流石に炊き出しを食べながらなのでおつきの人も思わず苦笑していた。
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