散歩の四百九十四話 明日の教会での予定

 夕食時に、予定通りガンドフさんから日中の闇組織のアジトの件で話がありました。


「押収物の分析と奴らへの尋問で数日はかかるが、どうも新年の祝いの際に何かをしようとした可能性が高そうだ」

「新年の祝いは多くの人が集まりますから、あの量の魔導具が使われるとなると大惨事になりますわ」


 ガンドフさんとスーが話をしているけど、僕にはそもそもの話の前提が分からなかった。

 ここは素直に聞いてみよう。


「すみません、王都での新年は初めてなので、新年の祝いを教えて頂けますか?」

「おお、そうだったな。新年の祝いは、王宮のバルコニーに王族が集まって陛下が庭に集まった国民向けに新年の挨拶をするのだよ。貴族は新年の謁見で話すので、平民向けの行事だな」

「王宮周辺に、多くの人が集まります。普段は中々王族にお目にかかれませんから。来年の新年の祝いでは、私も王族として参加する予定です。因みに、王城はあくまでも王族の住居施設なので、こういう事は王宮で行います」


 王宮も、政務の中心だけあってかなりの広さだもんなあ。

 となると、あれだけの魔導具が爆発するとなると大惨事は避けられない。


「なので、警備も厳重に行うが大量の人がくるとなるとこちらも全て対応はできない。中々頭の痛い話だよ」

「王宮の庭を区分けにして、人の整理を進めるしかなさそうですね。後は、時間はかかるけど手荷物検査をするとか」

「その案は採用しよう。時間がかかっても、手荷物検査は実施しないとならないな」


 あっ、僕の言った案がガンドフさんに採用されちゃった。

 後は、持ち物を極力持ってこないとかもあるだろうな。


「因みに、シュンとシロちゃんは謁見時に最低でも勲章の授与があるから、平民枠じゃなくて貴族枠での参加だな」

「えっ、本当ですか。平民枠で良かったんですけど……」


 ガンドフさんからまさかの事を言われてしまったけど、確か今は内務大臣更迭の影響が残っているんだよね。

 スーは思いっきり王族枠だし、それはそれで大変だ。


「まあ、決まっていない事も沢山あるから、現時点で話せるのはこのくらいだ。そうそう、ヘーベル枢機卿が言っていたが、明日シュン達がまた教会にくるのなら炊き出しと無料治療もやろうって話になったぞ。シュンの料理を一度食べてみたいという希望が、教会から出たそうだ」


 えっと、ガンドフさんからかなり凄いことを言われたのは気のせいかなと思ったけど、どうも気のせいではなさそうだ。

 僕としては、一体教会の誰が僕の料理を食べたいって言ったのかが気になります。


「ねーねー、パパの料理って美味しいの?」

「シュンお兄ちゃんの料理は絶品だよ! 凄く美味しいよ!」

「シュンの料理は今まで食べた料理で一番美味しいよ」

「何でも作れるよね。アオちゃんの料理も美味しいよ」

「おー、そーなんだ! とっても楽しみ」


 そして、僕の隣でも物凄く盛り上がっています。

 うん、これは明日はある程度の料理を作らないと駄目っぽいぞ。

 でも、あくまでも炊き出しレベルの物にしないと。

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