散歩の四百九十三話 ヴィヴィの冒険者登録が完了です

 パカパカパカ。


「スー、もうそろそろ冒険者ギルドに着くけど、着替えは大丈夫か?」

「あっ、はい。もう大丈夫ですよ」


 もうそろそろ冒険者ギルドに着くので冒険者服に着替えているスーに話しかけるが、準備は大丈夫みたいだ。

 僕は冒険者ギルドの馬車置き場に馬車を停めて、帆布を上げます。


「じゃあ、冒険者ギルドの中に入るよ」

「「「「はーい」」」」


 シロを先頭に、みんなが馬車から降りてきました。


「「ブルル」」

「いやいや、お前らはここでお留守番だ」


 馬が俺達も冒険者ギルドの中に入るのかと言ってきたので、流石に待っていろと言った。

 いくらうちの馬が頭良いとはいえ、他の冒険者が驚くから止めないと。

 僕は、馬の額を撫でてからシロ達の後に続いた。


「この前来たときより、冒険者は少ないね」

「流石に昼前だからね。多くの冒険者は、依頼を受けに行っているよ」


 冒険者ギルドの中は冒険者が少ないので、スムーズに受付まで辿りつきました。

 早速、ヴィヴィが受付のお姉さんに話しかけます。


「冒険者登録に来ました!」

「はい、元気な女の子ね。じゃあ、ついてきた人と一緒にこの紙に書いて下さいね」

「はい!」


 ヴィヴィは受付のお姉さんに元気よく手を上げて、自分の名前を書き始めた。

 冒険者には自分の名前すら書けない人がいるから、その点ではヴィヴィの勉強は順調に進んでいる事になる。


「あと、ギルドマスターとの面会をお願い……」

「やあ、シュン君ではないか。この様子だと、ヴィヴィ君の冒険者登録にやってきたのかな?」


 そして受付のお姉さんにクエーサーさんかゴーリキーさんとの面会をお願いしようとしたら、相手から僕たちの前に現れた。

 しかもクエーサーさんは、僕たちが冒険者ギルドに来た目的を的確に見抜いていた。


「クエーサーさん、ブローカー伯爵領ではお世話になりました」

「おかげさまで、無事に良い方向にむかう事ができました。本当にありがとうございます」

「私がした事は大した事ではないよ。シュン君とスー君が頑張った結果だからね」


 僕に続いてスーもお礼を言ったけど、ブローカー伯爵領が無事に収まったのも、クエーサーさんやゴーリキーさんにアリサ様の力が大きいのは間違いない。

 そういえば、ゴーリキーさんはどこだろうか?


「クエーサーさんが一階にいるのは珍しいですね」

「実は、新人職員が配属されたから様子を見に来たんだよ。たまたまゴーリキー君が王城に行っているんだよ。ゴーリキー君に、シュン君達がお礼を言いに来たって言っておくよ」


 ここはクエーサーさんにお任せしておこう。

 よく見ると、クエーサーさんの側に、羊獣人の女性がいるけど、この人が新人さんだね。


「はい、これが冒険者カードよ。お兄さんとお姉さんは凄腕冒険者だから、よく話を聞いてね」

「はーい」


 おっと、ヴィヴィの冒険者登録も無事に済んだみたいだ。

 タイミング的に初心者講習はやっていないみたいだし、後でヴィヴィに注意事項を教えないと。


「クエーサーさん、僕たちはこれで帰ります」

「無事に冒険者登録出来たみたいだね。ヴィヴィ君も頑張るんだよ」

「頑張る!」


 僕たちは、クエーサーさんに手を振りながら馬車置き場に向かいました。

 ニコニコしているヴィヴィに、早速シロ達が色々と話しかけています。

 いずれにせよ、まずは薬草採取から始めないと駄目だね。

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