散歩の四百八十六話 現場到着

 騎士団の人に先導して貰おうとしたけど、直ぐに現場が分かりました。


「あっ、煙が上がっているよ!」

「魔法を乱射した影響かな。火は見えないから、火事ではなく土ぼこりだな」


 目の良いシロが、街から上がる異変を直ぐに見つけた。

 みんな馬車に乗り込んで、急いで現場に向かいます。


「ヴィヴィはスーと一緒だ。怪我した人を治療してくれ」

「頑張る!」


 ヴィヴィの聖魔法は中々の威力で、中等症くらいの怪我なら直ぐに治せる。

 流石にスーを前面に出すわけにはいかないから、ここは僕とアオとシロにフランとホルンで対応しよう。


「あっ、見えたよ! いっぱい怪我してる人がいるよ」

「思ったよりも、相手は派手にやったな。ホルンも、スーと一緒に治療にまわってくれ」

「まかせて!」


 大教会から馬車をぶっ飛ばして、五分で現場に到着です。

 よく見ると、兵が盾を持って建物を取り囲んでいますね。

 アオは、馬と馬車を固定している馬具を外していました。

 せっかくなので、馬にも戦力になってもらいましょう。


「スーザン殿下、わざわざ駆けつけて頂き恐縮です」

「王国民の命が、何よりの優先です。治療はお任せ下さい。伯父様と聖騎士団も、もうすぐ到着します」

「聖騎士団も来てくれるとなると、とても心強い」


 現場の指揮官にスーが話しかけましたが、指揮官は明らかにホッとしています。

 僕も状況を聞いてみよう。


「目の前にある二階建ての建物が、今回のターゲットですか?」

「ええ、地下にも一つ部屋があります。いわゆる不審物の保管庫で、中には注意して取り扱わなければならない物もあります」


 思ったよりも、建物が広いか。

 ここは手分けして対応しよう。


「よし、人が増えると奴らが何をするか分からないから、今のうちに制圧しよう。僕とアオのアイテムボックスに、不審物を回収しよう」

「「「おー!」」」

「「ヒヒーン!」」


 僕の提案を聞いたシロ達と馬が、元気よく声をあげていました。

 ここからは、手分けしてやろう。


「馬に一階を任せる。闇組織の構成員を残さずノックアウトしてくれ。話を聞かないとならないから、殺しはするなよ。あと、一般市民はノックアウトするな」

「「ヒヒーン」」

「任せろって、言っているよ」


 うちの馬はとても賢いし、何よりもデタラメなくらい強い。

 馬が一階を制圧してくれたら、僕達の行動も相当楽になる。


「フランとアオは、地下に向かってくれ。もしかしたら沢山の不審物があるかもしれないから、取り扱い注意ね。あと、フランはアオの言う事をよく聞くんだよ」

「はーい」


 アオが任せてと触手をフリフリしていたから、ここは大丈夫でしょう。

 この一人と一匹は、不審物の確保がメインになります。


「僕とシロは、二階の制圧ね。魔法使いがいるかもしれないから、シロも十分に気をつけてね」

「シロにお任せだよ!」


 恐らく、二階に奴らのボスがいるはずだ。

 ボスを生け捕りにするのが、僕達のミッションです。


「スー、ホルン、もし敵が逃げてきた場合と魔法を乱射した時に備えてくれ。治療しながらだけど頼むな」

「ええ、こちらはお任せ下さい」

「ホルンも頑張るよ」

「ヴィヴィは治療専念ね。スーとホルンが治療にまわれない事もあるから、頑張って治療してね」

「うん!」


 これで役割分担完了です。

 時間も勿体ないので、早速行動に移ります。

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