散歩の四百二十九話 怪しい人を捕まえます
シュン、シュン、シュン。
不意に、女性の周りに沢山の魔法陣が浮かび上がります。
「ふふふ、消えて頂戴」
ズドン、ズドン、ズドン!
「ぐっ、何という魔力の奔流だ。これが闇組織の魔法使いの実力なのか」
咄嗟に僕とアオとスーで皆を守る様に魔法障壁を展開し、女性が放った魔法を防ぎます。
トーリー様は女性の魔法に思わず顔をしかめるけど、正直な所派手なだけで僕的には大した事はない気がするよ。
シュッ。
「とやー!」
バキン!
「くっ……」
その証拠に、一瞬の隙をついてシロが一気に駆け出して強烈な蹴りを女性に放った。
女性は何とか魔法障壁を展開して防いだけど、一気に防戦一方となってしまった。
「僕とスーで、あの女性へ牽制の魔法を放ちます。アオ、一気に決めてきて!」
「はい!」
アオも了解のポーズを決め、一気に動いてシロの下に合流します。
「せい、はあ!」
「えい、えい」
「とやー」
ズドーン、ズドーン。
「ぐっ、一発一発が重い……」
女性をその場に釘付けにする為に、僕とスーとシロでそこそこ重い攻撃を続けます。
女性は魔法障壁で僕達の攻撃を防ぐのに精一杯で、全く動けなくなりました。
その瞬間を、アオは逃しません。
すっ、パリーン。
「なっ! バリアブレイク?」
アオは触手に魔力を溜めて、女性の魔法障壁に軽く触れました。
一瞬にして女性の魔法障壁が壊れ、女性は驚愕の表情を浮かべていました。
そう、女性はビックリして思わず体が硬直して動けなくなったのです。
ズドーン、ズドーン、ズドーン。
バキン!
「ギャャャャー!」
既に僕とスーが放っていたエアーバレットとセイントバレットに、シロの強烈な蹴りが女性を直撃しました。
女性は派手に吹っ飛び、そのまま動かなくなりました。
「よし、この女を拘束し、直ぐに屋敷の各部屋を確認するぞ」
「「「はっ」」」
流石軍務大臣というのか、状況が動いた瞬間に直ぐに次の指示を出しました。
ここからは手分けして動きます。
「スーは侍従の避難誘導を兼ねながら、当初の予定通り庭に陣取って」
「はい、お任せ下さい」
スーは、避難を始めた侍従に付き添いながら庭に移動していきます。
僕達は、ブローカー侯爵の執務室に走って向かいます。
「あっ、この人悪い人だよ!」
「こいつは拘束対象だ!」
「くそ、何故分かった」
道中すれ違う人も、簡単にチェックしていきます。
シロの野生の勘にアオの鑑定も加われば、普通の侍従を装っても簡単に見抜く事ができます。
一緒に付いてきた兵が、次々と不審者を拘束します。
「私は、私は何もしていません!」
「残念ながら、鑑定には虐待を行ったというステータスが残っています」
「ああ、ううっ、わ、私は、お館様の指示に、従っただけで……」
泣き崩れる年配の侍従もいたけど、ここは罪をしっかりと自覚して貰わないと。
こうして次々と不審な侍従を捕まえながら、僕達は執務室の前にたどり着きました。
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