散歩の四百二十八話 屋敷の中に突入します

 シロとスーとアオが庭に陣取っていた二人を倒したので、ブローカー侯爵側も次の一手に出てきました。


「くそ、今度はコイツだ!」


 ブォーン、ブォーン!


「「「キシャー!」」」


 玄関から一人の男が現れ、二つの魔導具を同時に発動させました。

 一気に百頭を超えるゴブリンが現れ、僕達や兵に襲いかかりました。


「ははは、この数のゴブリンならお前らが幾ら強くても駄目だろう」


 男は僕達がゴブリンに蹂躙されると思っているらしく、高笑いをしながらニヤリと余裕そうな表情を見せていた。

 でも現れたのはただのゴブリンで、ゴブリンの上位種は一頭もいません。


「スー、アオ、魔法の飽和攻撃で一気に数を減らすぞ。シロも兵と一緒に攻撃ね」

「「はい!」」


 僕達は多数の相手をする戦いにも慣れているので、この程度では全く怯みません。


「魔法兵も後方のゴブリンから攻撃だ。冒険者なんかに負けるなよ!」

「「「はっ」」」


 シュイン、シュイン、シュイン。

 ズドン、ズドン、ズドン!


 僕達だけでなく軍務大臣の指揮を受けた軍の魔法兵も加わり、一気にゴブリンを駆逐していきます。

 勿論、直接戦うシロや兵に魔法が当たらない様に配慮しての攻撃です。


「やー!」

「キシャー!」


 ゴブリンを直接攻撃しているシロ達も、次々とゴブリンを駆逐していきます。

 鍛えられた兵にとって、数はいてもゴブリンは簡単な相手でしたね。

 僅か数分でゴブリンは全て倒され、討伐部位を残してアオがゴブリンを吸収し始めました。


「くそ、何でこんなにもあっさりと。つ、次はこの魔導具……」

「もう、魔導具はいいだろう。終わりだ」


 ジャキーン、ドン!


「ぐふっ……」


 バタリ。


 ガンドフ様が素早く男に近づき、男が手にした魔導具を一刀で切り捨てながら柄で男を攻撃して気絶させました。


「おおー!」


 パチパチパチ。


 ガンドフ様の余りの早業に、シロとアオは思わず拍手をしていました。

 流石騎士団長って強さですね。


「周囲の警戒をしつつ、手分けして屋敷の中に入る。ただし、投降した者への暴行は禁止する」

「「「はっ」」」


 屋敷へ入る経路が確保されたので、僕達も玄関に入っていきます。

 兵もブローカー侯爵に思う所はあるだろうけど、トーリー様が戒めていた。

 この世界だと、捕虜の人権なんて無いものだろうな。


 バン!


「フフ、待っていたわ子猫ちゃん達」


 そして玄関ホールに入ると、怪しげな雰囲気を漂わせる女性がいた。

 派手なロングの青髪に、スタイル抜群の体を露出多めのボディコンで覆っていた。

 ぱっと見はかなりの美人だけど、性格がキツそうで僕はパスだなあ。

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