散歩の四百十九話 スーの伯父と従兄
アリサ様が帰って直ぐに、二人の男性が応接室に入ってきました。
そう言えば、まだスーの家族構成が分からないんだよね。
「皆さん、待たせて済まなかったな。そしてスーよ、無事に帰ってきて何よりだ」
「南の辺境伯領での件を聞いた時はとても心配したが、こうして元気な姿を見せてくれたのが何よりだよ」
「伯父様、お兄様……」
ダンディな中年男性と美形の若い男性が、涙ぐむスーの事を抱きとめていました。
二人とも同じ濃い青色の髪をしているから、間違いなく親子だね。
涙が止まらないスーが少し落ち着くのを待ってから、改めて話をする事になりました。
「すみません、柄もなく泣いてしまって……」
「いやいや、大変な苦労をして実家に帰って来たのですから」
「そうだよ。スーお姉ちゃんもホッとしたんだよね」
少し恥ずかしそうにしているスーだけど、こればっかりはしょうがない。
シロも、スーの頭を撫で撫でしていました。
「「なでなで」」
フランとホルンも、シロの真似をしてスーの頭を撫でていました。
「ははは、皆さん仲が良くて何よりだ。私はガンドフ、スーの母親の兄で現当主だ」
「私はブレッド、スーの従兄でセーラの旦那だ。宜しくね」
とっても人の良さそうなガンドフさんとブレッドさんなので、シロ達も直ぐに警戒心を解いています。
「先ずは、スーの事をずっと守って頂き、スーの保護者として改めて感謝する。本当にありがとう」
「ガンドフ様、顔を上げて下さい。僕達も、スーにはだいぶ助けられましたから」
「ありがとう。スーの秘密を知らないまま、ずっと旅を手伝ってくれたのだ。感謝しか言うことがないのだよ」
とても丁寧なお礼を言われてしまったので、流石に僕もちょっと焦りました。
まあ、こうして家族が無事に再会出来たんだし、良しとしましょう。
「伯父様、暫くの間皆さんを我が家に泊めたいのですが宜しいでしょうか?」
「おお、全く構わんよ。陛下からも、シュン達をもてなしてくれと言われておる」
「伯父様、ありがとうございます」
ガンドフ様は、僕達の逗留を快く認めてくれました。
スーも問題ないと以前から言ってくれていたけど、正式にヴィクトリー男爵家に逗留する事に決定しました。
「シュンさんが婿入りするには、まだちょっと早いかな? だから、部屋は別々だよ」
「お、お兄様、何を言っているんですか!?」
「ははは、その反応を見ると満更でもなさそうだね」
「そうなのよ。既に、お互いアイコンタクトでやり取りしているのよ」
そして、ブレッドさんとセーラさんにからかわれて、スーは顔を真っ赤にしていました。
今日は王妃様といい陛下といい、いきなりこの話題をつっこんでくるね。
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