散歩の四百十八話 アリア様がヴィクトリー男爵家に来た理由
ここで、根本的な疑問をアリサ様にぶつけてみよう。
「あの……」
「何で私がここにいるって? 地区ギルドマスター会議が、王都であったのよ。今回は、王都南方地区ね。それで、ついでにたまたまヴィクトリー男爵家に寄ってスーの事を直接謝罪にきたのよ」
アリサ様、エスパーみたいに僕の言いたい事を先に言わないで下さい。
どうやら僕達が西の辺境伯領から王都に来るとは聞いておらず、本当にたまたまヴィクトリー男爵家に来たらしいです。
「しかし、結果的にはシュン達がスーの側にいてくれて助かったわ。王家の血を引くものは、何かしらの才能があるのよ。スーの場合は聖魔法って事ね。多分だけど、私の領の兵だったらスーの能力を十分に引き出せなかったわ」
「もしかして、アリサ様も王家の出身ですか?」
「私は、傍系の公爵家ね。エミリアさんみたいに直系王族ではないわ」
いやいや、僕からしたらアリサ様もとんでもない強さを持っていると思いますよ。
でも、これでエミリア様やスーの能力の高さが理解できた。
スーも驚く程メキメキと力を付けていたし、ちょっと不思議だなと思ったんだよね。
「しかし、シュンはともかくスーも二つ名を持ったか。王族になるのだから、聖なる女帝という名もあながち間違いではないな」
「あの、その二つ名はちょっと……」
「あら、良いじゃない。強そうな二つ名は、冒険者にとって憧れの的よ」
えっと、僕は「雷撃の料理人」という冒険者ですら分からない二つ名なんですけど……
そんな僕の事を無視して、アリサ様は今度はシロとアオに声をかけていました。
「シロちゃんも、とっても強くなって冒険者らしくなったわね。アオちゃんもこれだけの実績を残しているから、単独で冒険者登録する様に、王都の冒険者ギルドマスター宛に手紙を書きましょう」
「やったー! アオも冒険者だー!」
「「わーい、わーい!」」
まさかのアオの冒険者登録の話が出てシロとアオに加えてフランとホルンが共に飛び跳ねて喜んでいたけど、アオは普通に強いしチャンピオンスライムという二つ名もあるもんなあ。
「じゃあ、私はこれで帰るわ。まだ数日は王都にいるから、お茶会に招待するわね」
「はい、わざわざありがとうございます」
「お茶会には、必ず参加します」
「「「ばいばーい」」」
アリサ様は屋敷に帰るので、僕とスーは帰るアリサ様を見送りました。
明日は王城で会議があるので、お茶会は明後日以降になりますね。
「お義姉様、騒がしくてすみません」
「良いのよ。とっても楽しそうですし、私の子もこうして賑やかにはしゃぐのかしらね」
謝るスーに対して、セーラさんは賑やかにお腹を撫でながら話していました。
確かに、小さな子どもがいると賑やかになりそうですね。
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