散歩の四百十七話 まさかの人との再会

「タイミング悪く来客が来ているのよ。お義父様と旦那様は、その来客対応で執務室にいるのよ」

「それは、タイミングが悪いですね」

「まあ、皆さんにも関係のある人なので、こちらにも顔を出すかと思いますわ」


 僕達にも関係のある人って一体誰だろうって思っていたけど、取り敢えず待つしかないね。


「無事にスーがお役目を果たして戻って来れて、本当に良かったと思いますわ。これも、シュンさん達の力があっての事かと。本当にありがとうございます」

「こちらこそ、スーには色々と助けられました」

「スーお姉ちゃんと一緒で、とっても楽しかったよ!」

「「楽しかった!」」


 お互いに御礼を言い合っているけど、僕達もスーと旅をして楽しかったのは本当です。

 すると、セーラさんがニコリとしながらスーに話し掛けた。


「スー、良かったじゃない。とっても素敵な男性を捕まえたわね」

「お、お義姉様、つ、捕まえたとかでは、その……」

「ふふふ、顔を真っ赤にしちゃって可愛いわ」


 うん、ここでもやっぱり恋バナが始まりました。

 ニヤニヤとしたセーラさんが、顔を真っ赤にしてアワアワしているスーの事をからかっています。


「シュンさん、実はねスーは少し男性恐怖症なのよ。やはり父親が誰か分からない令嬢という事で、特に同年代の男子からからかわれていたのよ」

「うん、僕も何となく分かります。出会った頃のスーは、色々な人に怯えていた気がします」


 まあ、あの伯爵家の三男がスーの事をイジメていたのが原因なんだけどね。

 あの時から見ると、今のスーは本当に逞しくなったと思うよ。


 ガチャ。


「そうね、スーは本当に強くなったと思うわ。特に、心が強くなったわ」

「「「アリサ様!?」」」

「「?」」


 応接室に入っていたのは、南の辺境伯領の冒険者ギルドマスター兼辺境伯夫人のアリサ様だった。

 僕とスーとシロは、思わぬ人との再会にとてもビックリしました。

 しかし、アリサ様と会った事のないフランとホルンは、何が何だか分かっていないみたいです。


「ねーねー、このお姉ちゃんだあれ?」

「あらー、お姉ちゃんだなんて良い子ね」


 フランが僕にアリサ様の事を聞いてきたけど、アリサ様はお姉ちゃんと言われて上機嫌です。


「アリサ様は、南の辺境伯家の領主夫人様であると共に冒険者ギルドマスターでもあるんだよ」

「「すごーい! かっこいい!」」


 フランとホルンは、アリサ様の経歴を聞いてとっても興奮しています。

 因みに、今日のアリサ様は領主夫人らしい落ち着いた上品なドレスを着ていました。


「アリサ様、この子はフランとホルンといいまして、東の辺境伯領で仲間になりました」

「フランだよ!」

「ホルンです」

「うふふ、元気いっぱいでとても可愛いわ」


 アリサ様は、にこやかにフランとホルンの頭を撫でていました。

 フランとホルンは、キラキラとアリサ様の事を憧れの目で見ていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る