散歩の四百十五話 まさかの乱入者
さてさて、これで王妃様との話は終わりかと思ったけど、そうはいかなかった。
ガチャ。
「ふむ、面白い話をしているのう。余も混ぜてくれ」
あっ、スーと全く髪色が同じ短めの金髪で筋肉が屈曲な男性が応接室に入ってきた。
さっぱりとしたイケメンだけど豪華な服も着ているし、誰が見てもこの国の王様だと分かるよ。
「そなたがシュンにシロだな。我が娘スーが世話になった。スーの父親として、感謝する」
「へ、陛下顔を上げて下さい」
いきなり陛下が僕とシロに頭を下げてきたので、僕も目茶苦茶慌てました。
侍従が陛下のお茶を入れて、話が再開します。
「実は、年明けにはスーの事を王族の一員だと大々的に発表するつもりだ。だが、その際にどうしてもあの古臭い法律が立ちはだかる。法律を変える面倒くささは、余が一番知っておる」
「だと言っても、スーにはもう少し警備を付けた方が良かったのではないでしょうか?」
「分かっておる。しかし、警備を付けすぎると、各地の貴族に怪しまれる。それを回避する為に、南の辺境伯と計画を練ったのだ。あの、ハゲタヌキに妨害されたがな」
遠慮なくお菓子やお茶を口に入れながら、陛下が色々と話してくれた。
大体は、王妃様が話してくれた事と一緒です。
「スーが化け物みたいに強い冒険者と一緒になったと南の辺境伯から聞いた時は、そいつを殴り殺そうかと思ったぞ」
「僕、殴り殺される所だったのですか……」
「ははは、安心しろ。スーからちょくちょく、シュンは良い奴だと連絡が入ったぞ」
「へ、陛下!」
スーが慌てて陛下の口を塞いだけど、スーもどんな事を陛下に連絡していたんだよ……
まあ、スーが辺境伯家も使っていた通信用魔導具を持っていた理由も分かったけどね。
「でだ、シュンとスーが各地で成し遂げた功績はかなり大きい。本来なら爵位をやって法衣貴族にするべきなのだが、肝心の内務大臣を更迭してしまったぞ」
「という事は、僕はまだ貴族にはならないという事ですね」
「勲章などは、余の判断でやれるがな。だが、流石に爵位がないとスーをシュンに嫁に出せないぞ」
「お、お父様!」
ニヤリとした陛下をスーが遠慮なくバシバシと叩いてるけど、もう僕からは何も言えないぞ……
「シュンお兄ちゃんのお嫁さんに、スーお姉ちゃんがなるんだ!」
「わーい、わーい!」
「嬉しいな!」
そして、シロ達は陛下の話を真に受けて、大喜びしています。
「陛下、スーはまだ十二歳ですよね? 婚約とかまだ早い気がします」
「なに! シュンは余の娘では不満だと言うのか!」
陛下はスーの事を溺愛しているのか。
立ち上がって、僕を指差ししながら大声で叫んでいます。
何だか、とんでもない話になってきたぞ。
「あなた、落ち着きなさい!」
バキッ!
「へぶし!」
「「「おおー!」」」
そして、王妃様の強烈なパンチが陛下の顔面に直撃し、ようやく大人しくなりました。
うん、シロ達が思わず拍手をしていたけど、エミリア様の腕っぷしの強さは絶対に王妃様譲りですね。
「暫くは、シュンはスーと共に男爵家に滞在するのが良いでしょう。そして、王都にいるネズミを駆除して欲しいのじゃよ」
「つまりは、各辺境伯領にでしていた事を王都でもして欲しいと言う事ですね」
「シュンは理解が早くて助かる。詳しくは、スー経由で連絡をよこそうぞ。先ずは明日の軍の重臣会議に来るように」
「あたた……」
こうして、王都に来ていきなり大事に巻き込まれてしまいました。
僕とスーは、物凄く疲れてしまいました。
そして、陛下ではなく王妃様が国のトップに近いと改めて感じました。
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