散歩の四百十二話 王城の応接室で話すことに

 そして、僕達を乗せた馬車は、王城の庭にある馬車の停留所に到着しました。


「ふむふむ、これは一見するとただの幌馬車じゃが、最新式の装備が付けられておる。中々に興味深いのう。しかも、馬も西の辺境伯領特産の馬じゃ」


 うん、何故か王妃様が馬車や馬を色々な角度から見ていた。

 一体、何が起きているんだ?


「うむ、良い馬車じゃ。スーよ、この馬車を手に入れただけでも、良い冒険者になったのがよく分かる」

「あっ、ありがとうございます」

「後で、馬車の中にある暖かそうなテーブルを教えて欲しいのう」


 王妃様がニコニコしながらスーの事を褒めていたけど、やはり洞察力が物凄い。

 価値のある馬車を手に入れるだけの資金力が、スーにはあると思っていたのだろう。

 馬車と馬を購入したのは僕だというのは、この場では言わない事にしよう。

 今のうちに、王妃様に挨拶しないと。


「王妃様、私はシュンと申します。初めてお目にかかり、光栄でございます」

「シロはシロだよ。このスライムは、アオだよ」

「フランだよ!」

「ほ、ホルンです」

「うむ、礼儀正しいのは良いことじゃ。妾はビクトリア、この国の王妃じゃ」


 お互いに挨拶すると、王妃様がとんでもない事を言ってきた。


「そして、スーザン、スーの義母じゃ」

「えっ?」

「ち、ちょっと。王妃様、ここでいうのは……」


 あの、どういう事?

 王妃様が、スーの義母?

 スーって、男爵家の令嬢じゃないの?

 王妃様の言った内容を、スーも否定していない。

 シロは何となく意味が分かっているけど、まだ小さなフランとホルンは全く意味が分かっていなかった。

 僕とアオはというと、思わず固まってしまった。


「うむ、理解が追いついていないじゃろう。説明をするから、ついてくるのじゃ」


 そして、王妃様は侍従を引き連れて、スタスタと王城の中に入っていった。

 僕達も、先を行くスーの後をついて行きます。

 恐らく、スーの秘められた正体を知る事になるだろう。

 それでも、僕は知らないといけないと思った。

 そして、僕達は王城にある応接室に入りました。


 ばりぼりばりぼり。


「シュン、このお菓子美味しいよ!」

「とっても美味しいの」

「そ、そうか。それは良かったな」


 流石にシロでさえ大人しくしているけど、事情が分からないフランとホルンは出されたお菓子やお茶を遠慮なく食べていた。


「緊張しっぱなしではいかぬ。シュンも、スーも、シロも、お茶を飲んで気持ちをほぐすのじゃ」

「「「はい……」」」


 僕達も王妃様に進められるがまま、お茶を飲んだ。

 今までにない程とても美味しくて、そして少しずつ気持ちが落ち着いてきた。


「この紅茶は気持ちをリラックスさせる効能がある。妾も良く飲むのじゃ」


 王妃様も紅茶に口をつけた。

 王妃様も、何かを心に決めた様です。

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