散歩の四百十一話 まさかの人物との遭遇
会議も終わったので、僕達は軍の施設を出て王都に向かいます。
もう、一時間もあれば到着予定です。
「ここからは、私が御者をしますわ」
「シロも前に乗る!」
「フランも乗るよ」
「ホルンも」
ここからは、普段は王都に住んでいるスーが御者をしています。
シロ達も、とても楽しそうに御者席に座っていました。
街道を歩く人も馬車もかなり増えて来たので、僕達も慎重に馬車を進ませます。
「おお、防壁がとっても大きいね」
「街を守る為に、防壁も高く強く作ってあるのよ」
段々と防壁に近くなり、僕達は検問の列に並んでいます。
貴族用の検問もあるみたいだけど、スーは一般の検問に並んでいました。
ガラガラガラ。
「凄い豪華な馬車が、やってきたよ!」
「あれは王家の紋章が入っていますね」
辺境伯家よりも豪華な馬車が、貴族用の列ではなく更にその隣の検問所に向かいました。
スーの言う通り、あんなに豪華な馬車を所有できるのはこの王国でも一握りだろう。
かたっ。
「「「「えっ?」」」」
おいおいおい、その豪華な馬車が何で僕達の馬車の隣に止まるんですか?
予想外の展開に、御者席にいる全員が豪華な馬車の方を向いて固まってしまいました。
「おお、その姿、スーではないか。王都に帰ってきたのだな」
「お、王妃様!」
なんと、豪華な馬車から顔を覗かせたのは、この国の王妃様でした。
流石のスーも、とんでもない人の登場に物凄くビックリしていました。
「丁度よい、スー達もこのまま王城に向かうが良い。ヴィクトリー男爵家には、スーは王城に行ってから向かうと使いを出そう。妾の後を付いてくるが良い」
「はい、仰せのままに……」
王妃様は、ニコリとしながらこの後の予定を全部決めてしまいました。
僕達の馬車は王妃様の馬車の後をついて行き、ほぼ検問のチェックを受ける事なく防壁を通過しました。
ガラガラガラ。
「スー、この後王城で王妃様と面会するだろう。今のうちに、着替えをした方が良くないか?」
「いえ、それは大丈夫かと。王城内に、着替える為の部屋がありますので」
念の為に服装の事でスーに確認をしたけど、その辺りは大丈夫みたいだ。
そして、馬車は大通りを進んでどんどんと王城に近づきます。
「王城に王宮が合体した様な作りだね」
「まさにその通りになります。王城はあくまでも王家や関連した人の住まいになって居て、主な政務は王宮で行われています」
住む所と仕事をする所を、明確に分けているのか。
確かに王国はとても大きいから、王城だけでは政務が回らないよね。
うん?
という事は?
「スー、僕達は王宮でなく王城に向かっているよね?」
「はい、そうです。王城です」
「という事は、王族のプライベートスペースに入るの?」
「ええ、そうですね。でも、陛下の執務室は王城にあるので、多くの貴族が王城を訪れていますよ」
王妃様の言い方だと、王城のプライベートスペースに行く可能性が高い。
あの、王都に着いていきなりこの国の偉い人と面会ですか?
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