散歩の四百十話 明日の予定が決定しました

 ずるずるずる。


「シュンお兄ちゃん、悪い人捕まえたよ!」

「「ふがふがふが!」」


 程なくして、爆発型の魔導具を投げ入れた犯人をシロ達が捕まえてきた。

 縄でグルグルに縛られているけど、恐らくアオがやったんだろうな。

 しかも、犯人は二人もいたのか。

 何故かフランとホルンにお姫様抱っこされていたけど、特に気にしない様にしよう。


 ドサッ。


「あのね、アオが鑑定で闇組織の人物だって確認していたよ」

「幹部クラスって言ってた」

「幹部クラスだけど、弱かったよ」


 しかも、まさかの幹部クラスの人物だとは……

 あの爆発型の魔導具を扱える人物は、闇組織の中でも少ないのかもしれないね。


「よし、アオも三人も良くやったぞ。後で依頼料の上乗せと、オヤツをやろう」

「「「オヤツ!」」」


 トーリー様がシロ達の事を撫で撫でしていたけど、シロ達はお金よりも食べ物の方が嬉しいらしい。

 この辺は、まだまだ子どもっぽい所ですね。


「さて、少し落ち着いた所で話をしよう。これからの事も関係してくる」


 トーリー様は、僕達を軍の施設にある会議室に案内した。

 すると、何だかとっても偉そうな人が集まっていたぞ。


「緊張しなくても良い。軍の幹部だが、私よりもランクは低い」

「あの、トーリー様のランクは……」

「私は、この駐屯地を束ねる師団長だ。流石に騎士団長や軍務卿ではないから安心してくれ」


 エミリア様と既知があるからそれなりのランクだとおもったけど、師団長様とは……

 僕達は随分と凄い人と長くいたもんだ。


「さて、これだけの件なので陛下に報告をしないとならない。既に概要は伝えているが、直接話すのとでは伝わるニュアンスも変わるのでな」

「確かに、要約した内容でも伝える事は出来ますが、実際に生の声を伝えるのも重要ですね」

「流石はシュンだ、良く分かっている。という事で、明日王城で行われる軍の重臣会議にシュンも参加してくれ」


 あの、トーリー様?

 さり気なく、とんでもない事を言いませんでしたか?

 シロ達は良く分かっていないみたいだけど、スーとアオは気の毒そうな視線を僕に送っていた。

 でも、自分の身が大事なので僕の事を助けてくれません。


「あの、何故僕が軍の重臣会議に参加するんですか?」

「各辺境伯領で起きた、闇組織関連の事件解決の功労者だからだ。各辺境伯の推薦もあり、陛下も会ってみたいと申しています」


 うう、確かに各辺境伯領で色々と対応したけど、まさかこんな大きな事になるとは……

 今から離脱する、は無理だな……


「明日朝、王城より迎えの馬車がスー殿の屋敷に行きます。出来れば、シュンとスーだけでなく子ども達も一緒に来て欲しいそうです」

「「「やったー!」」」


 あの、シロ達よ。

 王城には、遊びに行くわけじゃないんだからね。

 明日の事なのに、既に胃がキリキリとしそうだよ。

 僕は、心の中でさめざめと泣いているのだった。

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