散歩の四百九話 軍施設への襲撃

 ガタガタガタ。


「おー、大きなお城が見えてきたよ!」

「凄い! 大っきい!」

「防壁も大きいね」


 翌日、遂に王都の防壁が彼方に見えてきました。

 馬車の荷台からシロ達が身を乗り出しながら、遠くに見える街並みに興奮しています。


「ここまでくれば、半日もあれば王都に着きますわ」

「「「楽しみ!」」」


 同じく荷台から身を乗り出しているスーが、大体の到着予想をしていました。

 スーとしても、生まれ育った王都に戻ってきて感慨深いのだろうね。

 因みに、あと一時間程で軍の施設に到着するので、一先ず僕達の任務は完了予定です。


「遠足は帰るまでが遠足ですと言われた事がありますが、完全に軍の施設に入った訳じゃないのでまだ気を引き締めないとならないですね」

「明確な到着地点なので、闇組織が何かをしてくる可能性もありますわね」


 僕とスーだけでなく、アオもまだまだだと気を引き締めています。

 闇組織が、最後の抵抗をしてくる可能性があります。

 そして、残念ながらその懸念は現実の物となってしまいました。


「よし、先ずは護送馬車を中に入れるぞ」


 トーリー様が部隊に指示をだしている間、僕達は兵と共に周囲の警戒をしています。


 ひゅーん。


 不意に、街道から軍の施設に投げ込まれた物が。

 あっ、この手榴弾みたいな形状の物って。


「アオ、魔法障壁だ。皆んなも周囲の警戒を」

「「「「はい!」」」」


 僕も、指示を出しながら投げ込まれた物を魔法障壁で包みます。


 ズドーーーン!


「やっぱり爆発型の魔導具か」


 ひゅーん。


「まだ、投げ込まれていますよ」

「ぐっ、もう一回魔法障壁だ!」


 まさかの連チャンで爆発型の魔導具を投げ込まれたので、今度は僕とスーで爆発型の魔導具を魔法障壁で包み込みます。


 ズドーーーン!


「ふう。防げたけど、やっぱり何か仕掛けてきたか」

「「「待てー!」」」


 爆発型の魔導具を投げ込んできた怪しい人物を、シロ達とアオが追いかけていきました。

 犯人が現場から逃走しても、シロ達の鼻の良さから逃げられないと思うぞ。


「シュン、スー、助かった。お陰で、無事に護送対象を牢に入れる事が出来た。牢は頑丈だから、ちょっとやそっとの爆発や魔法攻撃でも壊れる事はない」

「しかし、やはりというか闇組織が襲撃してきましたね」

「爆発型の魔導具を投げ入れるだけなら、魔導具の使い方さえ分かれば誰でも出来る。使い捨てされた者とはちょっと違うのかもしれないな」


 トーリー様が僕とスーの所にやってきて、襲撃を防いだ事のお礼を言ってくれた。

 闇組織も、襲撃にしか使えない者、魔導具を扱える者、それ以上の者と、使い分けているのかもしれない。

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