散歩の四百七話 王都に着いたら何がしたい?

 翌朝、トーリー様が各所に連絡を入れてから、僕達は出発しました。

 軍経由で、冒険者ギルドにも不良冒険者の調査が行くそうです。

 他にも、犯罪歴のある人物の調査も進めるそうです。

 勿論、僕達も道中は色々と警戒しながら進みます。


 ガラガラガラ。


「あと三日もあれば、王都に着くはずだよ」

「寄り道しなかったから、あっという間についちゃうねと」


 今日は、僕とシロで御者をしています。

 フランとホルンは、スーとアオがこたつに入りながら勉強しています。

 ここの所、フランとホルンへ集中して勉強できています。

 同じ五歳児に比べても、特にホルンはかなり頭が良さそうです。


「シロは、勉強大丈夫なの?」

「今日は午後からやるから大丈夫!」


 シロもキッチリと時間を決めて勉強する様になったので、だいぶ大きな進歩です。

 フランとホルンの、良いお姉ちゃんって感じですね。


「シロは、王都に着いたら何がしたい?」

「うーんとね、スーお姉ちゃんのお家に泊まりたい!」

「そうだね。多分王都にいる間は、スーの屋敷に泊まる事になりそうだね」


 スーは男爵家のお嬢様なので、冒険者活動も一年だけの予定です。

 当初の目的だった南の辺境伯様とも会えたし、スーは年内で冒険者活動も終える予定です。

 まあ、闇組織と人神教関連の騒動があるから、この先はまだ不透明だけど。


「王都だと、どんな依頼があるかな?」

「大きなお屋敷のお掃除とかありそうだよ!」

「ははは、流石に屋敷全体を掃除するのは勘弁だよ……」


 普通に、薬草採取とかの簡単な依頼を希望するよ。

 とはいえ、先ず王都の冒険者ギルドにどんな依頼があるのか確認してからだな。


「うーんとね、後はまたどこかに旅に行きたいな」

「せっかく良い馬車を手に入れたんだし、どこかに行くのも良さそうだね」


 依頼とか関係なしに、ぶらり温泉の旅とかも良いかもしれない。

 幸いにしてお金は沢山あるし、旅費には全く困らない。

 すると、シロが馬車の中に入っていった。


「ねーねー、スーお姉ちゃん、王都の近くに温泉とかある?」

「日帰りで行ける所に、人気の温泉街がありますよ。王都に着いて時間が空いたら、皆で行きましょうか」

「「「行くー!」」」


 まさか王都近郊に、人気の温泉街があるとは。

 一泊二日でも、余裕な旅路だな。

 本格的に、温泉旅行は考えても良さそうだね。


「じゃあ、他にはどんな所があるの?」

「温泉街の近くに、大きな湖がありますよ。南の辺境伯領と、川で繋がっていますわ」


 そういえば、僕達の一番初めの仕事が運河の倉庫掃除だったな。

 そう思うと、何だか感慨深いな。

 この日は、夜の襲撃もなくとっても穏やかでした。

 そして、皆で寝る時にどこに行きたいかを話していました。

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