散歩の三百九十一話 皆で馬に乗ってみよう
馬車はこれで良いのだが、問題は馬車を引く馬をどれにするかだ。
「この馬車は、何頭引きですか?」
「こいつは二頭引きだ。大型種なら一頭でも可能だが、二頭選んだ方が無難だな」
お金を払いつつ、工場の職人に馬の話を聞いた。
確か前にネットで見た馬車も二頭引きだったし、この世界の馬車も二頭引きだった。
お勧めの馬牧場があるそうなので、案内状を書いて貰った。
「因みに、この馬車はどうやって運ぶつもりだ?」
「アイテムボックスがあるので、収納しておきます」
しゅっ。
「おお、こんなデカいものを収納出来るなんて、あんちゃんはただの料理人じゃないんだな」
僕の背中を職人がバシバシと上機嫌に叩いてくるけど、やっぱり僕は冒険者じゃなくて料理人という認識なんだ……
思わずガクリとしている僕の事を、スーとトリアさんがぷるぷると笑いを堪えながら見ていた。
そして僕達は、馬車便に乗って街の郊外に向かいます。
街の直ぐ近くに、牧場があるそうです。
「「「ヒヒーン」」」
「「「お馬さんだ!」」」
そして、目的の牧場に着くと沢山の馬が僕達をお出迎えします。
シロ達は、馬車以外では初めて見る馬に大興奮です。
「先ずは、事務所に行くぞ」
「「「はーい」」」
色々話を聞かないといけないので、先ずは牧場の事務所に向かいます。
「おお、あんちゃんか。話は少し聞いている。入ってくれ」
事務所に行くと、直ぐに牧場長が僕達の事を迎えてくれました。
どうも、辺境伯家から事前に僕達が牧場に伺う事を聞かされていたみたいです。
僕は馬車工場から預かった手紙を、牧場長に渡しました。
「ふむふむ、馬二頭に牽引器具、それに馬の飼育方法だな」
「王都に行けば、我が家の厩で飼育出来るのですが……」
「成程、王都までの道中の世話だな。じゃあ、こっちに来てくれ」
僕達は、牧場長について行きながら厩舎に向かいました。
厩舎には、沢山の馬が飼育されていました。
牧場長は、そのうちの一頭を連れてきました。
「馬は牧草や、馬用のペレットを与えるぞ。ニンジンもそうだが、リンゴなどの甘い物も大好きだ。ただ、キャベツやブロッコリーなどの野菜は与えちゃだめだ。あと、一回に大量には食べられないから、何回かに分けて食べさせてやれ」
馬は葉っぱ物なら何でも食べると思ったけど、食べられない物もあったのか。
これは、気を付けないとならないな。
「蹄の手入れは重要だぞ。蹄に土や石が詰まる事があるから、出来れば休憩の度に手入れをしてくれ。汗拭きやブラッシングなども良くして、皮膚を健康に保ってくれ」
人間もお風呂に入る様に、馬も定期的な手入れが必要だね。
この辺は、シロ達が喜んで馬の世話をやりそうだな。
「この牧場では、あまり背は高くないが足腰が丈夫な馬を扱っている。この馬は、乗馬にも使えるぞ」
「「「おおー!」」」
シロ達に加えて、アオも乗馬は出来そうだな。
では、早速馬の扱いを練習する為に乗馬をする事になりました。
僕達の目の前にいるのは、栗毛と鹿毛の二頭の馬です。
「おおー! 高い、歩いている!」
「たのしー!」
「面白い!」
亜人というだけあってか、シロ達はいきなり馬を乗りこなしていた。
シロ達曰く、馬とお話しながら乗っているそうです。
「いやあ、スライムが馬に乗るとは。流石はチャンピオンだ」
アオも、手綱を触手で持って器用に馬を乗りこなしています。
牧場長も難なく馬を操るアオに、ビックリするほど関心していました。
「スーは馬の扱いが上手いね」
「乗馬だけならやった事があります。馬の世話は、係りの人がしてくれましたので」
スーも難なく馬を操っているが、僕も何とか馬を乗りこなしています。
この馬はとっても従順で、僕でも普通に乗りこなす事が出来ました。
皆が同じ二頭の馬に乗っているので、恐らくこの馬を購入する事になるだろうね。
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