散歩の三百九十話 馬車を買う事に
ところが、翌日は完全に別の用事で買い物に行かないとならなくなった。
「シュンよ、今回は馬車便での移動ではないのだが、どうやって軍と共に移動するのだ?」
朝食時に辺境伯様から言われて、あれってなってしまった。
「僕達は、軍の馬車には乗れないのですか?」
「おお、そう思っていたのか。昨日軍の関係者が家に来たので聞いてみたら、護送対象が多くて馬車がいっぱいだそうだ。我が家も、今は馬車を貸すのは難しいな」
えー!
馬車がいっぱい?
無駄に仕事が出来る辺境伯様に感謝だけど、それじゃあどうすればいいのだろうか。
「街に、馬車を扱っている店がある。色々な種類があるから、聞いて来るがよい。馬の世話の仕方も教えてくれるぞ」
「本日は、私がご案内いたします。暫く、皆様のお手伝いができませんでしたので」
という事で、トリアさんの先導で僕達は街に行きました。
トリアさんはつわりが酷かった母親のマリアさんの看病をしていたので、教会の手伝いができないでいました。
まあ、こればかりはしょうがないと皆も思っていました。
「こちらが、馬車を取り扱う業者になります」
「「「おおー!」」」
トリアさんに案内されたのは馬車を作っている工場みたいで、沢山の馬車が製造されていた。
というか、とってもビックリしたのは、馬車の構造にあった。
僕は、製造途中の馬車に近づいた。
スーとアオとシロ達も、僕の後をついてきた。
「これはサスペンション、ですね」
「おお、あんちゃんは流石だな。今年出来たばかりの改良型だ」
僕が馬車の足回りを見ていると、工場の職人が僕達の所にやってきた。
どうも収穫祭の時に、僕の姿を見ていたそうです。
「板バネ式の馬車だ。最近の馬車にも簡易的なサスペンションは付いているが、コイツはある程度の重量にも耐えるものだぞ」
「荷馬車や、人を多く乗せる馬車に適していますね」
「そうだな。ある程度の悪路でも、快適な場所旅になるぞ」
アオも馬車の板バネを触手でちょんちょんと触っているけど、サスペンションが良いのと悪いのとでは馬車の乗り心地が格段に違うからな。
今までは、クッションを工夫して何とか振動を緩和していたもんなあ。
幸いにしてお金には困っていないし、幌馬車タイプもあるぞ。
「因みに、馬車のメンテナンスとかを王都で頼む事もできますか?」
「可能だ。王都にもうちの工場があるから、メンテナンス一式できるぞ」
車とかも定期的なメンテナンスが必要だけど、馬車だって同じだ。
よし、これに決めた。
「では、この最新型のサスペンションがついた幌馬車タイプを下さい」
「おう、分かったぞ。ちょっと待ってな」
豪華な貴族用馬車もあったけど、僕達には必要ないもんね。
幌馬車の方が中が広く取れるし、荷物を整理すれば寝る事もできる。
これは、良い買い物になったぞ。
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