散歩の三百八十八話 ケーシーさんとテルマさんが王都出発します

 そして翌朝になり、ケーシーさんとテルマさん達が軍と共に王都に向けて出発します。


「シュンさん、スー、本当にお世話になりましたわ。こうして娘が無事なのも、お二人のお陰です」

「王都に着きましたら、是非とも我が家にお寄り下さい」


 ケーシーさんとテルマさんの母親も旅衣装に着替えていて、辺境伯様の屋敷の玄関に止まっている馬車でケーシーさんとテルマさんと共に王都に帰ります。


「暫くは、花嫁修業を中心にしないといけないわね」

「でも、街の人の為の依頼は続けたいと思います」

「今回の件で、私達が本当に多くの人に支えられている事を実感しました。これからも、勉強していきます」


 エミリア様に言われてちょっと顔を赤らめているケーシーさんとテルマさんだけど、辺境伯家に嫁ぐ為の勉強が待っているね。

 そして、ケーシーさんとテルマさんは馬車に乗り込んで王都に向けて旅立っていきました。


「いっちゃったよ……」

「でも、お姉ちゃんとは直ぐに会えるわよ」

「うん……」


 ケーシーさんとテルマさんと仲良くなっていたケントちゃんは、馬車が見えなくなるとショボンってしちゃいました。

 とはいえ、エミリア様の言う通り数年後にはケーシーさんとテルマさんはずっと辺境伯家で暮らす様になるもんね。


「さて、僕達は教会の現場に行きます」

「シュン、教会の現場には行かなくて良いわよ。何時までも、シュンに頼り切りじゃいけないわ。その代わりに、孤児院の子ども達に勉強を教えてくれないかしら?」


 エミリア様も僕達がこれ以上教会の現場にいても意味ないと判断したので、別の仕事をする事になりました。

 という事で、僕達は離れにいる教会の子ども達の所に行きました。


「フラン、ホルン、折角だから子ども達と一緒に勉強だな」

「えー」

「はーい」


 遊ぶのが大好きなフランは勉強と聞いて嫌な顔をしたけど、頭が良いホルンは元気よく返事をしていた。


「シロ、フランの勉強をみてやってくれ。頑張ったら、ご褒美にデザートを作ってやるぞ」

「「「やったー!」」」


 デザートと聞いて、シロ達のテンションがかなり上がりました。

 とはいえシロ達だけにデザートをあげる訳にはいかないので、孤児院にいる子ども達とシスターさんと、後はケントちゃんの分も用意してあげよう。


「「「おいちー!」」」


 やっぱりというか、おやつタイムにケントちゃんも孤児院の子ども達に混ざってデザートを食べていました。

 ケントちゃんも絵本を読んだり数字の勉強をしていたらしいし、頑張ったならデザートを食べても何も問題ないよね。


「おい、何で俺の分のデザートが無いんだよ!」

「これは、子ども達の為に作った物です。ここでデザートを食べると、エミリア様に怒られますよ」


 屋敷の執務室から匂いを嗅ぎつけた辺境伯様が離れまでやってきたけど、流石に辺境伯様と言えども子ども達の為に作ったデザートはあげられません。

 というか、辺境伯様は背後に立っている笑顔を崩さないエミリア様に早く気付くべきですよ。

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