散歩の三百八十話 ナスカ子爵家とフランツ子爵家のこれからの事

「スーにも、本当に迷惑をかけました。そして、貴方がシュンさんですね。娘がお世話になりました」

「たまたまとはいえ、娘は貴方達と合流出来て良かったと思います」


 ケーシーさんとテルマさんの母親が僕とスーに話しかけてきたけど、こればっかりはタイミングの問題だもんなあ。

 冒険者ギルドでの騒ぎがなければ、スルーしていた可能性もあっただろう。


 バタン。


 あっ、馬車の揺れが収まってエミリア様が馬車から降りてきた。

 凄いな、あれだけの折檻タイムだったのに全くドレスが乱れていないよ。


「シュン、私達は先に帰るわね」

「あっ、はい……」


 エミリア様はニコリとして最低限の事しか言わなかったけど、口出しする事は出来ない。

 そして、馬車はエミリア様とケーシーさんとテルマさんの母親を乗せて屋敷へ向かいました。


「ケーシーさんも、テルマさんも、お母様が来てよかったですね」

「ええ、少しビックリしてしまいました」

「でも、母は昔から行動力のある方でしたので、今思えばあり得るのかと思いました」


 ケーシーさんとテルマさんも、今はだいぶ落ち着いています。

 とにかく目の前の仕事をやらないといけないので、僕達は夕方まで教会での作業を続けました。


「「はあ……」」

「二人ともどうしたの? 溜息なんてついて」


 そして夕食になったので、ナスカ子爵家とフランツ子爵家のこれからの事について話を聞くのだが、何故かケーシーさんとテルマさんの不安が再発していた。

 スーも二人に確認するけど、二人は何も言わなかった。

 ここは、エミリア様からの話を聞くしかないですね。


「お待たせしました」

「良いのよ、ずっと働いていたんだから。お風呂に入ってさっぱりしたみたいね」


 僕達が食堂に姿を見せると、既に全員勢揃いしていました。

 僕達が席に着くと、早速話が始まります。

 流石にというか、辺境伯様から話し始めました。


「王国でも例がない大事件だが、皆のお陰で被害を最小限に食い止められた。改めて皆に礼を言おう。カスアク伯爵家には余罪がかなりあり、捜査に時間がかかる。まあ、どう考えても取り潰しが基本路線だな」


 そりゃ、あれだけの大騒ぎを起こした上に、王都でも軍に喧嘩を売ったからなあ。

 普通に考えても、取り潰しは避けられないだろう。


「ナスカ子爵家とフランツ子爵家については、既に当主が謹慎していて当主交代を王国に申し出ている。兄は既に成人済みで両家の籍を抜けているが、他の家臣が事件に携わっているからな。辺境伯家から両家に対する爵位の降格は求めんが、王国から罰金は請求されるだろう」


 こればっかりは仕方ないもんな。

 ケーシーさんとテルマさんのお陰で、逆を言うと降格や取り潰しにならないで済んだと思いたい。

 そして、エミリア様から衝撃的な話が出てきました。


「それと今回の事とは別に、ケーシーとテルマを辺境伯家に輿入れする事で調整しているわ」

「「えっ?」」


 僕とスーは、思わず固まってしまった。

 ケーシーさんとテルマさんが、辺境伯家にお嫁に行く?

 一体どういう事だ?

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