散歩の三百七十話 改めて教会の再建計画を話します

 昼食後は、屋敷の応接室に関係者が集まって話し合いをします。

 因みに持っていける物は移動してもう焦って動く必要はないので、シロ達はケントちゃんも混じって孤児院の子ども達と一緒に屋敷の庭で遊んでいます。

 アオは、孤児院再建の話し合いに参加しています。


「教会の床や木像の修理は、計画を立てて進めていけば良いだろう。こっちは大して問題ない。問題は孤児院の再建だな」


 棟梁の言う通り、今回は教会の修繕と孤児院の再建は切り離して考えた方が良いでしょう。

 教会の修繕計画は、あの若い大工が中心になって進めるそうです。


「壁や柱には思い出のある物もあるかと思いますので、使えるものは使って貰えると助かります」

「そうね。そのまま木材としては使えないと思うけど、何か装飾の類として使えたら良いですわね」


 司祭様とエミリア様が希望を漏らしていたけど、使えるものは使っていきたいね。

 ここは、大工の腕の見せ所です。


「一度孤児院を解体して、使える物とそれ以外の物に分けよう。基礎から作り直さないといけないし、だからといつて急いで作れば良いものではない」


 孤児院の解体方針は、先代様が言った内容で大丈夫ですね。


「先ずは、明日から解体作業を始めましょう。僕とアオのアイテムボックスを使えば、作業速度も上がると思いますよ」

「後は、手伝いの依頼を冒険者ギルドに出そう。解体は力のある冒険者がいると良いし、収穫祭後の冒険者への仕事斡旋にもなる」


 僕の意見に、辺境伯様が動いてくれた。

 執事に指示を出しているし、今日中には冒険者ギルドに依頼を出せそうです。


「基礎をどうするかは、解体が終わってからだな。長く使って貰う為に、住みやすい孤児院にしないとならないな」


 棟梁がうんうんと頷いているけど、少しでも長く使える孤児院になってしいね。

 話し合いはこれで終わり、棟梁と司祭様は離れにいるシスター長に決まった事を伝えてから帰るそうです。


「何れにせよ、僕達は明日は教会に行って作業をしないとね」

「そうですね。やる事は沢山ありますし、暫く忙しそうですね」


 スーも、勿論ケーシーさんとテルマさんもやる気満々です。

 現場作業だと怪我人も出るだろうし、治療の手も必要だね。

 と、ここで執事さんが依頼書のたたき台を持ってきました。


「若様、これで如何でしょうか?」

「なになに? 建築経験あれば尚更良いと。うーん、インパクトが弱いなあ」


 あの、辺境伯様?

 何で、依頼書の内容にインパクトを求めているんですか?

 僕もスー達も苦笑していたのに、辺境伯家の皆様は真剣に考えていますよ。


「確かに募集かけるには、ちょっと決め手がかけるわね」

「もっとガツンといくものが良いな」

「では、シュン様の賄い付きは如何でしょうか?」

「「「それだ! 雷撃の料理人の賄い付きを足そう」」」


 そして、僕の意思とは関係なく賄いを作る事が決定しました。

 トリアさんまで話に乗るとは、本当に西の辺境伯領の人々はノリが良いな。

 でも、僕が大変な目に合うだけの様な気もするよ……

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