散歩の三百六十八話 引っ越しの準備完了です
木工場に着くと、僕は工場の奥に行きました。
「ちょっと待ってな。えーっと、こうしてっと」
棟梁が工場の一角を片付け始めました。
木材加工などの邪魔にならない場所ですね。
「よっしゃ、あんちゃんここに女神様の木像を出してくれ。他の物は木箱だな」
僕は棟梁の指示を受けて、木像と皿や燭台などを取り出しました。
ふう、これで一段落ですね。
「棟梁、この皿や燭台はどうするんですか?」
「後で専門の工房に持っていくぞ。工房にも孤児院から職人になった奴がいるし、そいつ等に修復させる」
そっか、他にも孤児院出身の人はいるもんね。
自分が出た孤児院の事だから、間違いなく手伝うだろうと棟梁は言っていました。
「前に教会の床を張り替えた時の設計図が確かあったから、探しておくぞ。無くても作れば良いだけだからな」
「すみません、宜しくお願いします」
「良いって事よ。ちょうど急ぎの仕事もないし、俺達が住んでいる街の事だからな」
ガハハと棟梁が笑っているけど、この街の人は良い人が多いね。
この場は棟梁に任せて、僕は教会に戻りました。
ガヤガヤガヤ。
な、何か人が増えていない?
「シュンさん、お帰りなさい」
「スー、何があったの?」
「孤児院出身の人が、引っ越しの手伝いをしてくれているんです」
僕を出迎えてくれたスーの話では、教会に人が沢山集まっていたので何かなとが聞いた街の人が、孤児院が取り壊されると聞いて孤児院出身の人に声をかけたそうです。
そうしたら、噂が噂を呼んであっという間に人が集まったとの事です。
多くの人が集まっただけあって、あっという間に引っ越しの準備は完了しました。
「シスター長は、昔から無理をするんだから」
「今はゆっくり休んで元気になってね。私達も時間を見つけて手伝いに行くからさ」
「まあまあ、ありがとうね」
そして、集まった人は簡易ベッドで寝ている体調が良くないシスター長にもビックリしていました。
幸いにしてゆっくり休めば治るって聞いて、ほっと胸を撫で下ろしていました。
シスター長は孤児院出身の人は勿論の事、街の人からも尊敬されているので皆がシスター長の心配をしていました。
そんな中、いよいよ引っ越し開始です。
教会と孤児院の中は、ほぼ空っぽです。
「「「ありがとー!」」」
「良いって事よ。私達の後輩なんだから」
「そうよ、全然気にしないでね」
片付けを手伝ってくれた人に孤児院の子ども達が元気よく挨拶をしていたけど、街の人はニコリとして帰って行きました。
さあ、辺境伯様の屋敷に向かいましょう。
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