散歩の三百六十二話 収穫祭が終了しました

「以上を持ちまして、収穫祭を終了いたします」

「お、終わった……」


 合同結婚式以降、怒涛の来店ラッシュで僕はすっかり疲れてしまいました。

 パレードが終わったらシロ達やトリアさんも戻ってきて手伝ってくれたし、スーも途中から手伝ってくれた。

 しかし、この人達の存在が来客に拍車をかけました。


「いやあ、嬢ちゃん達は勇気があるね。気に入ったよ」

「家族の為に体を張るなんて、中々出来たことじゃないな」

「王都に居づらいなら、辺境伯領にいればいいさ」

「「えーっと……」」


 そう、どうしても屋台の手伝いをすると言って聞かなかったケーシーさんとテルマさんの存在でした。

 怪我は完全回復していたので売り子をやって貰おうとなったのだが、これがまさかの大行列を生みました。

 爆発型魔導具に決死の思いで覆いかぶさった行動が、主に獣人の心を射止めたみたいです。

 更にヘラがペラペラと喋ったので、二人が可哀想な境遇だと思ったそうです。

 ついでにシロ達も結婚式や護衛倒しで人気者になったので、客が押し寄せる原因の一つにもなりました。


「トリア、先代様と母ちゃんが無事に結婚してよかったな」

「後継者が生まれたら、いつかは結婚するだろうと思っていたぞ」

「あ、ありがとうございます」


 先代様とアリアさんが結婚したのもあってか、トリアさんも大人気でした。

 街の人からの祝福に、トリアさんもとっても良い笑顔です。

 この人達のお陰で、僕はひたすら料理をしていました。

 因みに、アオは辺境伯家の護衛でケントちゃんと一緒にいました。

 あんな事件があったから仕方ないとはいえ、もう少し調理の人手が欲しかったよ……

 ホルンがまんまる焼きを手伝ってくれなければ、本当にキツかった。

 あと、激怒して護衛を一瞬で投げ飛ばしたスーを見て、聖なる女帝は確かに存在したと言われていたのは内緒です。


「よーし、これも片してくれ」

「こっちもだ」


 広場では、早速解体作業が始まっていました。

 屋台も纏めて片してくれるそうなので、僕達は侍従と共に屋敷に帰ります。


「うーん、疲れた。まさかニ回連続で品切れになるとはな」


 僕は背伸びをしながら、仲良く話している女性陣の背中を見ていました。

 本当に色々あったけど、こうして全員仲良く話が出来るのはとてもいい事だね。


「シュン様、どうかしましたか?」

「何でもないよ」

「??」


 僕の顔をトリアさんが不思議そうに見ていたけど、僕も何だか気分が良いね。


「皆お帰り。今日は色々あって疲れているだろうから、夕食を食べたらゆっくりと休んでね」

「「「はーい」」」


 屋敷に帰ると、エミリア様が出迎えてくれました。

 エミリア様も疲れているはずなのに、本当にご苦労さまです。

 僕達は疲れもあったのか、お風呂に入って夕食を食べたらあっという間に寝てしまいました。

 今日まで色々とあったけど、明日からはまた別の忙しさが待っているね。

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