散歩の三百五十九話 ビックサプライズ
「じゃあ、ヘラを拘束して運び出してね」
「「「はっ」」」
エミリア様は、守備兵に指示を出してヘロヘロ状態のヘラを運び出していました。
流石に連行する時に邪魔だというので、エミリア様がヘラの外した左肩を入れ直していました。
しかし流石というか、エミリア様のドレスは全く汚れていないぞ。
「さあ、合同結婚式を再開しましょう。新郎新婦が待っていますわ」
そしてエミリア様は、何事もなかったかの様に舞台上に上がっていった。
自席にもどるかと思ったら、トリアさんが介抱しているケーシーさんとテルマさんの所に向かいました。
僕達もエミリア様の後をついて行って、舞台上に上がりました。
「二人とも、本当に無茶をしました。色々と思う所はあるかもしれませんが、命を粗末にする事は許しません」
「「はい、申し訳ありません」」
流石にケーシーさんとテルマさんも自殺行為的な行動を反省していて、エミリア様の忠告に素直に頷いていました。
そしてエミリア様は、二人の事をギュッと抱きしめました。
「二人が無事で良かったわ。これ以上、人が傷つくのは流石に耐えられないわ」
「「申し訳、ありま、せん……」」
ケーシーさんとテルマさんも、肩を震わせながら涙を流していました。
家族の事や兄の事など、色々と思う事があるんだろうね。
そして二人は、シロとトリアさんにお姫様抱っこをされながら、舞台裏に下がっていきました。
「では、合同結婚式を再開します。うん? えっと、何々? えっ!」
ここで再開のアナウンスをしようとした司会の人に、一枚の紙が手渡されました。
何だか滅茶苦茶びっくりしていますが、一体何が書いてあったのでしょうか?
「し、失礼いたしました。ここで一つ報告がございます。何と先代様とマリアさんの間に、新たな命が宿っているそうです」
「「「うおー!」」」
会場内に漂っていた微妙な空気を吹き飛ばす、ビッグサプライズです。
マリアさんは顔を赤らめていて、そんなマリアさんをダンディに抱き寄せる先代様のリアクションで、更に会場がわきました。
「じーじ、マリちゃ!」
ケントちゃんも自席から拍手を送っていてエミリア様もウンウンと頷いていました。
「あっ? えっ?」
一方の辺境伯様はマリアさんの懐妊の話を聞かされていなかったのか、とんでもなくびっくりしていてとても面白い顔をしています。
「えっ、お母様?」
そして、舞台袖に戻ってきたトリアさんも、びっくりした表情で固まってしまいました。
どうやらトリアさんも、母親の懐妊を聞かされていなかったみたいですね。
ともあれ、ビッグサプライズのお陰で、会場の雰囲気が一変したのは間違いないですね。
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