散歩の三百四十七話 合同結婚式のスケジュール
寝ていた辺境伯様は時間になったらいつも勝手に起きるというエミリア様の配慮で、そのまま玄関ホールで寝かせています。
僕たちは朝食を食べて、一足先にトリアさんと共に広場に向かいました。
辺境伯家の皆さんは、昨日と同じく後から馬車でくるそうです。
「「「ぐおー、ぐおー」」」
広場にも、多くの酔っ払いが眠っていました。
どうやら、昨日は遅くまで皆で寝ていたらしいですね。
寝ている人が昏睡強盗に合わないように、広場を警備している兵が定期的に見回りをしていたそうです。
といっても、その強盗狙いの多くが、昨日スーと守備隊によって捕まったらしいです。
因みに守備隊は殆どお酒を飲んでいなくて酔っ払っていたのは演技らしく、スーはいつの間にか本当に酔っ払っていたそうです。
「さてさて、僕は屋台をしないといけないけど、結婚式班はどうするんだ?」
屋台に皆で集まって、今日の打ち合わせを始めます。
僕は言わずもがな、今日も屋台の料理人です。
「今日は、全員で五組の合同結婚式を行います。もしかしたら一組増えるかもしれないと聞いていますが、一組増えても何も問題ありません」
合同結婚式だから、結婚する夫婦が増えても大した影響はないね。
なにせ、神父役の司祭様が一度に全員の神への報告をするのだから。
「私達は、主に女性参加者の着付けや進行のお手伝いをします」
「メインの司会はエミリア様が行うそうで、毎年辺境伯家のどなたかが司会をするのが通例だそうです」
ある意味、辺境伯家主催の結婚式だもんなあ。
それに、エミリア様なら何でも無難に行いそうです。
「それと、気をつけないといけないのがブーケトスと言われています」
「合同結婚式の新婦が、一斉にブーケトスを行います。勿論、街の独身女性が多く集まります」
「収穫祭で行われる結婚式のブーケは、女性にとっての幸運のアイテムとして扱われるそうです。ただ、昨年は怪我人も何人も出たそうで……」
な、何とも危険なイベントじゃないですか。
前世で友人の結婚式に参加した事があるけど、ブーケトスに望む女性の迫力は凄かったよ。
それが、最低でも五個のブーケを巡って争われる争奪戦です。
しかも、本気でブーケを取りにいくのですよ。
シロ達は良く分からない表情をしているけど、これは大変なイベントですよ。
「何もなければ、午前中で全てが終わります。合同結婚式が終わったら、結婚した夫婦はオープン型の馬車でパレードをします」
「街中からライスシャワーが起きるそうです」
「そして、パレードが終わったらまたお祭り騒ぎに戻るそうです」
ここまでが合同結婚式の流れか、想像以上に大きなイベントだな。
そりゃ、収穫祭で一番大きなイベントって言われているだけはあるな。
「じゃあ、僕とトリアさんとアオで周囲の監視をしつつ屋台だな。シロ達は、頑張って結婚式のお手伝いをしないとね」
「「「頑張るー!」」」
シロ達は、フラワーガールとリングガールをするそうです。
ある意味結婚式の華だから、頑張って貰わないとね。
「今日は、屋敷の侍従も屋台の手伝いをしてくれる予定です。売り子や売上の計算は、侍従に任せてしまえば良いかと」
トリアさんの情報は、とってもありがたいです。
流石に、二人と一匹で屋台を回すのは不可能だもんな。
話し合いは、このくらいで大丈夫ですね。
さて、僕達には最初の仕事が待っています。
「取り敢えず、寝ている人を起こして舞台を綺麗にするか」
未だに寝ている人がいる舞台を、皆で見ていました。
街の人も集まってきたし、準備を始めないとね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます