三百四十四話 広場からの帰り道

「こりゃ凄い事になっているなあ……」


 屋台の後片付けが終わると、道端には眠ってしまった酔っ払いが沢山いました。

 とはいっても獣人が多いので、少し寝れば酔いから回復するそうです。


「まだまだ飲めるよー」

「「「お酒くさーい」」」


 一方のスーはと言うと、とっても上機嫌でアオと一緒に帰ってきました。

 思わずシロ達が鼻をつまんでいるけど、東の辺境伯領の時よりも全然マシだと思うよ。

 とはいえ、もう帰らないといけないから、スーには眠って貰いましょう。

 という事で、アオ宜しくお願いします。


 ぽわーん。


「すー、すー」

「よっと」


 スーは、僕により掛かる様に寝てしまいました。

 僕は体勢を入れ替えて、スーの事をおんぶします。

 うーん、相変わらず背中に柔らかいものが当たらないなあ。


「シュンさん……何を、考えて……」

「「ぷっ、くくく……」」


 スーよ、寝ながら僕の思考を当てないで欲しいよ。

 ケーシーさんとテルマさんが、お腹を押さえながら笑っているよ。


「じゃあ、私達も帰るわ」

「「「じやーねー」」」


 辺境伯家の皆さんも、馬車に乗って屋敷に戻って行きました。

 シロ達も手を振って馬車を見送っているし、僕達も帰りましょう。


「すー、すー」


 さて、屋敷に着いたけど、スーはどうしようかな?


「「「お酒臭いのいやー」」」


 シロ達もこんな感じで、酔っ払ったスーと一緒に寝るのは嫌みたいです。


「じゃあ、スーは割り当てられた部屋で寝て、シロ達はケーシーさんとテルマさんと一緒に寝たほうが良いね」

「「「わーい!」」」


 昨日も皆で寝てもらったし、どっちにしてもケーシーさんとテルマさんもアオの睡眠魔法で寝てもらう可能性が高いもんなあ。


「ケーシーさん、テルマさん、スーって昔からこんな感じでしたか?」

「えっと、昨年のスーさんの誕生パーティでスーさんが酔っ払ってしまいまして」

「会場にあったワインを、一人で全部飲んでしまったのです」


 スーよ、何故その様な超人伝説を残すのか。

 話してくれたケーシーさんとテルマさんも、僕の背中で寝ているスーを見ながらかなり微妙な表情だぞ。


「それにしても、スー様は凄いですわ。人族であんなにお酒が強い方は、エミリア様以外では初めてお目にかかりました」


 トリアさん、目を輝かせて言う事じゃないですよ。

 エミリア様はお酒を飲んでも全く変わらなかったですけど、スーは物凄い酒乱なんですから。

 僕も、スーにお酒で潰された被害者の一人ですよ。

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