散歩の三百二十七話 超面倒くさくて超危険な組織
ここで、屋敷にアオを連れた先代様が戻ってきました。
「アオに探索魔法を使って貰いながら街中を調べたが、どうも捕まえた連中で全てみたいだな。ともあれ、防壁の検問も兵を増やして対応しないとならない」
アオって、探索魔法が使えたんだ。
僕達に向けて触手をふりふりとしているけど、いずれにせよ一先ず落ち着いたという事ですね。
「応接室に集まろう。これからの話をしないとならないな」
珍しく真面目な顔をしている辺境伯樣が、僕達を促しました。
色々な事を決めないとならないもんね。
という事で、皆で応接室に移動します。
「既に王都にあるカスアク伯爵家へは、軍が捜索に入ったそうだ。人神教は闇組織レッドスコーピオンとの繋がりが確認されているから、国も非合法組織として警戒していたんだ」
「まあ、読んで字の如く、人神教は人族主義の連中ね。主に、獣人に反感を持っている富裕層が絡んでいるわ」
非合法組織と言う割には、屋敷の前に現れた連中はあっさりと組織名を名乗っていたけどね。
辺境伯樣とエミリア様が面倒くさそうに応えていたけど、確かに厄介な組織だね。
「そういえば、東の辺境伯領で教会の中にいる人族主義の連中と対峙した事がありました。何か、関係があるんですか?」
「大アリだ。教会の中にも人神教が潜り込んでいて、表立って活動しているのが人族主義の連中だ。奴らは異様な程に人神を崇めているから、別に隠しているわけじゃない」
おおう、とりあえず超面倒くさくて超危険な組織ってのは分かりました。
相手にするのが、本当に嫌だなあ。
「貴族主義の中には、選民意識の強い者がいる。そいつ等と人神教が繋がっているだろう。カスアク伯爵家も、間違いなくそのパターンだな」
「確かにあのカスアク伯爵家の息子も、異常な程獣人を嫌っていましたね」
更に、貴族も絡んだ事にもなっている。
そういう連中から、犯罪組織に資金が流れているんだろうね。
「収穫祭はやるぞ。奴らに、住民の楽しみを潰されてたまるか。勿論、厳重警戒はするがな」
「広場の瓦礫の撤去も始まった。アオに吸収できるものは、既に対処して貰ったがな」
辺境伯様と先代様の言葉に、僕達も頷きます。
僕達も、ここまで来て止める気は全くありません。
準備はあと二日しかないけど、できる事をやらないと。
「さて、話し合いはこの辺にしましょう。朝食もまだですし、しっかりと食べて動きましょうね」
「「「はい!」」」
エミリア様がこの場を締めて、僕達は食堂に向かいました。
「「「おかえりー」」」
「お帰りなさいませ。朝食の準備が出来ておりますわ」
食堂に着くと、一足先にパンをもしゃもしゃと食べているケントちゃんとフランとホルンの姿がありました。
マリアさんがニコリと出迎えてくれて、僕達のちょっと荒んだ心も落ち着きました。
さて、朝食を食べて頑張ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます