散歩の三百二十六話 屋敷は何とか無事でした

 僕達は、急いで屋敷に向けて走りだしました。

 と、兵に追われながらこちらに向かって走ってくる者が。

 あっ、手にはナイフを持っているぞ。

 どう見ても怪しいね。


「シロ、そいつを……」

「とー!」

「ぐはあ!」


 あ、シロも怪しいと思ったのか、その男をドロップキックでぶっ飛ばしました。

 男は一発でケーオーとなり、そのまま兵に拘束されました。


「ありがとうございます。その男がお屋敷に爆発型の魔導具を投げ込んだんです」

「ええ! 屋敷は大丈夫ですか?」

「はい。辺境伯樣が爆発型の魔導具を掴んで、空高く投げ飛ばしました。お陰で全く被害はありません」


 辺境伯樣、あんた何をしているんですか。

 流石にやり過ぎだと思いますよ。

 とにかく屋敷へと向かう事にして、状況を把握しないと。

 再び僕達は、屋敷に向けて走りだしました。


「あっ、シュンだ。やっほー」

「シュンお兄ちゃん、やっほー」

「やっほー」


 屋敷に入ると、玄関ホールで一緒に遊んでいるフランとホルンとケントちゃんがいました。

 この三人は、何事もなく元気ですね。


「おお、シュン帰ってきたのか」

「辺境伯、話を聞きましたよ。爆発型の魔導具を掴んで空に投げたって」

「そりゃ、被害を最小限に抑えるには、そうするしかなかったからな」


 廊下の奥からやって来た辺境伯樣にちょっと苦言を呈したけど、当の辺境伯様は全く反省した様子がないね。


「それよりも、広場はどうだったか?」

「収穫祭会場は、目茶苦茶に壊れていました。ここでも、爆発型の魔導具の残骸が見つかっています。幸いにして朝早かったので、怪我人は少数でした」

「壊れた物は仕方ないが、怪我人が少なくて何よりだ。さて、あの馬鹿伯爵にどう落とし前をつけるとするか」


 おお、辺境伯様が目茶苦茶怒っているぞ。

 そして、王妃様も使っていたタブレット型の魔導具をポチポチといじっていました。

 すると、ここにエミリア様とスー達も帰ってきました。


「逃げ出したカスアク伯爵家の者は捕らえました。それよりも、あなたはちょっとやり過ぎましたわね」

「あたた、耳を引っ張るな!」


 エミリア様が、早速辺境伯様にお仕置きをしています。

 うん、辺境伯様は十分に反省して下さい。

 すると、今度はエミリア様がタブレット型の魔導具をポチポチといじり始めました。


「ふふふ、あの馬鹿に容赦する必要はないでしょうね。久々に頭にきたわ」


 うわあ、カスアク伯爵家と人神教は怒らせてはいけない人を怒らせてしまったみたいです。

 ともかく、こちらも怪しい人物を全て捕らえないと。

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