散歩の三百二十五話 新たな爆発音

 僕とアオは、直ぐに動き出しました。

 僕はトリアさんの前に出て、魔法障壁を展開します。


 ズドーン。


「あれ? 思ったよりも手応えがないなあ」

「あっ……」


 トリアさんは突然の事でちょっと呆けているけど、放たれた魔法自体は全く大した事はありませんでした。


「ふん!」


 バシーン!


「ふはは、軽い魔法だな」

「ぐっ」


 その証拠に、先代様は魔法をぶん殴って防いでいました。

 うん、ある意味すげーな。


 バリバリバリ。


「ギャー!」


 すかさずアオの雷魔法が襲撃者に炸裂して、不審者はバタリと倒れました。

 直ぐに兵が、痺れて倒れた不審者を拘束します。

 えーっと、念の為に探索魔法をかけるけど、この辺にいる怪しい奴はいないね。


「周囲の警戒を続けるのだ。まだ、他に不審者がいるかもしれんぞ」

「「「はっ」」」


 先代様の指示が飛んで、兵が周囲の警戒にあたります。

 そして、トリアさんもようやく一息ついたみたいです。


「シュン様、危ない所を助けて頂き感謝申し上げます」

「儂からも礼を言おう。娘の命を救ってくれて助かったぞ」


 ここは、素直に感謝を受け取っておこう。

 

 ズリズリズリ。


「お兄ちゃん、捕まえたよ!」


 シロも追いかけていた不審者を捕まえたよみたいだけど、足を持ってズリズリと引っ張るのは良くないぞ。

 直ぐに兵が、シロが捕まえた不審者を拘束しました。


「壊れちゃったね……」


 シロがポツリと呟いたけど、皆で頑張って準備をした広場が瓦礫の山になっています。

 これには僕もそうだけど、先代様とトリアさんもかなり悲しそうな表情をしています。


「先代様、爆発型の魔導具の残骸を発見しました。魔力を蓄積して、一気に爆発させるタイプです」

「他に不審物がないか確認する様に。街にも爆発物が仕掛けられている可能性があるぞ」


 間違いなく、あのカスアク伯爵家と人神教が絡んでいるね。

 でも、暫くは現場検証が行われるので、瓦礫を撤去する事もできません。

 とにかく、今は犯人を捕まえないといけないね。


 ズドーン、ズドーン!


「えっ!」

「まさか」


 その時、またもや爆発が遠くで起きました。


「あれって、屋敷の方角じゃないですか?」


 トリアさんの言う通り、爆発が起きたのは屋敷の方角だ。


「シュン、屋敷に行ってくれ。儂は、まだ現場検証を続ける」

「分かりました」

「私もお供します」

「シロも行くよ!」


 広場には先代様とアオが残ってくれる事になり、僕達は屋敷に向けて走っていきます。

 被害が出てなければ良いんだけど。

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