散歩の三百十八話 女神像の扱いについて

 そして、教会関係者が僕とアオが作っている女神像を見るなり、突然膝をついて祈り始めました。


「おお、何という事か。こんな素晴らしい女神像に巡り会えるとは」

「女神様の優しさを見事に体現しておりますわ」

「まるで、目の前に本物の女神に出会えた気分です」


 教会関係者は、女神像に祈りを捧げながら感涙しています。

 おお、そこまで感動されると僕もアオもちょっと照れるなあ。


「司祭様、この素晴らしい女神像を収穫祭が終わったら街の教会に寄贈したいのですが、如何でしょうか?」

「大変光栄な事でございます。この様な素晴らしい女神像を飾る事ができるなんて、教会にとっても誇りに思います」


 エミリア様の提案に、未だに涙が止まらない司祭が頷いていました。

 ふふふ、実はこれで終わりにはしません。

 僕とアオは、女神像の横に少し小ぶりの天使像を作りました。

 結婚する人に祝福が訪れる様にと、ちょっと気合を入れました。

 簡単な作りなので、一人と一匹で三十分もあれば完成です。


「おお、これはまた素晴らしい。結婚式に参列した人へ、祝福を授けている様です」


 天使像も好評だったみたいで、この像も教会の一角に飾られるそうです。

 すると、シスターが申し訳なさそうに話しかけてきました。


「先代様、エミリア様、申し訳ないのですが、小さめの女神像を作って頂く事は可能でしょうか? 実は教会を建て直す事になりまして、新しい女神像の像を作ることになりました」

「ええ、そのくらいは良いわよ。折角だから、気合を入れたものを作って貰いましょう」

「ありがとうございます。費用はお支払いしますので」

「その辺りは、改めて調整しましょう」


 話の内容を聞いて、僕もアオもやる気になりました。

 街の人に喜んで貰える女神像を作らないとね。

 とはいえ、今は収穫祭の準備が優先なので、収穫祭終了後に女神像を作る事にしました。

 今日の作業も無事に終わったので、僕達は屋敷に戻る事に。

 因みに、ケントちゃんは途中お昼寝タイムになったので、屋台の一角で先代様に見守られながらすやすやと眠っていました。


「お、お帰り……」

「「「……」」」


 屋敷に戻ると、顔にあざができている辺境伯様が出迎えてくれました。

 先代様とエミリア様とケントちゃん以外は、唖然として声を失ってしまいました。


「ちょっとおいたをしたので、教育的指導をしました。お陰様で、書類は全て終わりましたわ」

「マリアさん、ありがとうございます。本当に助かりました」


 エミリア様とマリア様が話をしているけど、本当に教育的指導があったんだなあ……

 因みに、先代様の命令で僕達は辺境伯様に回復魔法をかけられませんでした。

 明日になると、もっとあざになっているだろうなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る