散歩の三百十二話 鞭を持った天使様(辺境伯様にとって)
翌朝、西の辺境伯家の屋敷に侍従服を着たとっても綺麗な天使族の御婦人と娘がやってきました。
「初めましての方もおりますね。侍従長をしておりますマリアと申します。この度は、私の治療をして頂き誠に有難う御座います」
僕達に挨拶をした天使族のマリアさん。
うん、先代様の愛人というだけあってとんでもなく綺麗な人だ。
背は高く金髪は短く切り揃えられていて、とっても柔和な笑顔です。
そして、スタイルが物凄く良い。
とても一児の母とは思えないぞ。
「私は、娘のトリアです。母を治療して頂き、感謝しております」
娘さんは今年十歳になるそうで、天使族と獣人のハーフだそうです。
金髪のロングヘアで犬耳がぴょこぴょこしているのに、背中には天使族特有の羽が出ています。
それでいて尻尾まで出ているので、両親が誰かを知ったら直ぐに分かりそうですね。
「マリアさんの事は、辺境伯家公認よ。まあ、先代様ですし今の辺境伯様の事ではありませんので問題ありません」
おお、エミリア様がニコリとしながら話をしてくれたけど、辺境伯様は絶対に浮気はできないだろうなあ。
「あなた、私達は祭り会場に向かうので書類整理の続きをお願いしますわ。マリアさん、申し訳ございませんが宜しくお願いします」
「ええ、お任せ下さいませ。何かありましたら、遠慮なくで宜しいでしょうか?」
「ええ、遠慮なく全力でお願いいたします」
「畏まりました」
「ひぃぃぃ……」
おお、マリアさんが何処からか取り出した鞭をひゅんひゅんと振るっていました。
辺境伯様の怯え方が尋常じゃないから、昔悪さした時にお仕置きされたんだね。
何だかエミリア様とマリアさんが黒い笑いをしているけど、辺境伯家が不穏な感じではなくて良かったよ。
「よし、じゃあ行くぞ。今日行くのは広場だから、皆で歩いて行くか」
「「「「わーい」」」」
朝の訓練を終えて朝食も食べ終えると、先代様がすくっと立ち上がりました。
どうも馬車が詰まらなかったみたいで、シロ達とケントちゃんは諸手を挙げて喜んでいます。
「先代様、その、護衛をつけなくて良いのですか?」
「ああ、そうだな。じゃあ、シュン達を護衛にするか」
「シュン達は凄腕の冒険者ですし、下手な兵よりも強いですわ」
「おお、ならシロが皆を守るよ!」
「フランも!」
「ホルンも頑張る」
そして、僕達が何故か先代様とエミリア様とケントちゃんの護衛をする事になってしまいました。
僕だけでなく、スー達も思わず苦笑しているぞ。
というか、目の前の男女二人は間違いなく僕達よりも強いんですけどね。
という事で、支度をして屋敷を出発します。
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