散歩の三百一話 皆で夕食

 客室は僕とスーとケーシーさんとテルマさんで分けられて、シロ達は気分次第で各部屋に行くそうです。

 こうなると、僕の部屋には誰もいない可能性が高そうですね。

 部屋に荷物を置いてお風呂タイムですが、客室に簡易的な浴室があったのでそちらを使う事に。


「はあ、流石に色々あって疲れた……」


 久々に一人でお風呂に入りつつ、溜息をつきます。

 騒動はひとまず収まったけど、あの冒険者を国軍が引き取りに来るにはまだ日数がかかる。

 何よりも、収穫祭が先に行われるのだ。

 絶対に何かあると、僕も警戒した方が良いだろうな。

 とはいえ、先ずは辺境伯家が対応するはずだし、僕達は様子見としておきましょう。

 さて、お風呂からでてパンツを履いてっと。


 かちゃ。


「「「ごはん食べに行こー!」」」

「「「「あっ」」」」


 ちょうどパンツを履いた所で、シロ達が勢いよく浴室のドアを開けました。

 そして、スーとケーシーさんとテルマさんと目が合っちゃいました。

 あ、危なかった……

 シロ達がドアを開けるのがもう少し早かったら、完全に全裸だったぞ。


「あはは、失礼しました……」


 スーは少し顔を赤くしながら、浴室のドアを閉めました。

 ここはシロ達にお説教しないと。


「シロ、フラン、ホルン。いきなりドアを開けちゃダメでしょう。ちゃんとノックしてから開けないとダメだよ」

「「「はーい」」」


 僕の注意が分かったのか分からないのかわからないけど、三人は元気よく返事をしていました。

 この分だとまたやらかしそうだなと思いながら、僕は着替えていきました。


「あれ? 辺境伯様はまだダメですか?」

「主人は溜まっている仕事を放り出していったので、まだ仕事中よ。気にしなくて良いわ」


 食堂に着くと、エミリア様が辺境伯様が不在の理由を教えてくれました。

 どうも普通に仕事が溜まりまくっていた上に、僕達に会う為に冒険者ギルドに行ったそうです。

 この言い方だと、辺境伯様は仕事から逃れる為に冒険者ギルドに行った事にもなる。

 エミリア様が、激おこになるのも良く分かるなあ。


「それじゃあ、形式なんて気にせずに食事を楽しみましょうね。乾杯」

「「「「「「乾杯」」」」」」


 エミリア様の音頭で、食事がスタートです。

 目の前には豪華な食事が並べられていて、シロ達は早速料理をかぶりついています。

 西の辺境伯領は野菜も肉も特産なので、素材の美味しさが際立っています。


「おかーしゃま、おにくおいちー」

「そう、良かったわね。いっぱい食べるのよ」

「うん!」


 ケントちゃんも獣人なだけあって、まだ幼いのに良い食べっぷりです。

 今は小さくて可愛いけど、将来は辺境伯様と同じくらい大きくなるかも。

 ちょっと気になったのはケーシーさんとテルマさんの食べっぷりで、この分だと出会った頃のスーみたいにあまり食事を食べさせて貰えなかったのではないかなと思ってしまいます。

 スーも気になったみたいなので、ケーシーさんとテルマさんも暫く様子をみないと駄目ですね。

 そして、やはりというか食事が終わるとケーシーさんとテルマさんはあっという間に寝てしまいました。

 シロ達も流石にケーシーさんとテルマさんの寝ている所を邪魔できないので、素直に僕とスーの所で寝ていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る