散歩の三百話 皆で仕事を頑張る事に
「寄り親が寄り子の結婚に関して口を出すことはあるけど、最初っから冒険者になれって話はないわ。スーも結婚については色々言われているけど、今回の冒険者活動も問題なければ一年限定って話だしね」
「実は、カスアク伯爵様がスーさんが冒険者をしているのだから、お前らも冒険者になっても問題ないだろうと言っていまして」
「私達もスーさんが一年限定で冒険者をしているのは知っていたのですが、その事を話しても全く取り合って貰えませんでした」
「昔からあの伯爵は馬鹿だったけど、どうしようもないレベルで馬鹿になったのね。ちょっと待っててね」
あーあ、そのカスアク伯爵はスーの事を変に利用してケーシーさんとテルマさんを冒険者にしようとしたんだ。
怒りモードが更に増したエミリア様が、スーも使っているタブレットみたいな魔導具をポチポチと操作し始めました。
「しっぽー、おしょりょーい」
「お揃いだね」
「フランも、尻尾あるよ!」
「ホルンは、尻尾ない……」
いつの間にかケントちゃんがシロ達の所に来ていて、皆で尻尾をふりふりとしていました。
ホルンは天使族だから尻尾はないけど、背中の羽をぱたぱたとさせています。
物凄くほのぼのとしているけど、実はケントちゃんは母親のエミリア様の殺気を感じてシロの所に逃げてきたのかもしれないな。
「よしっと、お父様に全部報告したからもう大丈夫よ」
「「「「……」」」」
エミリア様がニコリとしながら仕事をやり切った感じで話をしてきたけど、エミリア様のお父様って国王陛下だよね?
僕もスー達も、思わず唖然としちゃったよ。
カスアク伯爵も、とんでもない人を敵に回しちゃったなあ。
「国軍が王都から辺境伯領に来るまで二週間はかかるし、ケーシーとテルマは暫くどう過ごすの?」
「折角なので、冒険者活動をして色々な事を勉強したいと思います」
「市民目線で色々なものを見て見たいです」
「市民目線を勉強するのは良い事よ。収穫祭前で仕事もたっぷりとあるしね。スー、二人に冒険者としての仕事を教えてあげなさいね」
「はい、一生懸命教えます」
ケーシーさんとテルマさんの決意に、エミリア様は嬉しそうに頷いていました。
スーもだけど、僕も色々教えてあげないとね。
ここで、さっき辺境伯様を軽々担いでいた執事さんが応接室に入ってきました。
「失礼いたします。お客様の部屋の準備が整いました」
「ありがとう。スーはシュンと同室が良いかしら? きっと道中の宿でも相部屋だったのだし」
「えええええ! そんな事は、ない、ですよ……」
スー、顔を真っ赤にして否定すると、からかっているエミリア様の思うつぼだぞ。
僕は道中の事を話しながら、スーの頭が冷えるのを待ったのでした。
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